第58話

文字数 580文字

子どもらしくなく、きれいに残さず食べていく。
そういえば母は私が子供の頃、常に「生あるものを食すのだから感謝して残さずに食べなさい」と言っていた。

そんなものかと、嫌いなものも渋々食べていた。

ただ、妹には軽度の食物アレルギーがあるとわかり、それからは残さず食べなさいとは言わなくなった。

ちなみに脱線すると、不思議なことにそう言われなくなったのをきっかけにして、食べられないものがないのに「食べたくない」ものを残す私と、最初から食べてはいけないものが入っていないから「完食」する妹という奇妙な姉妹になりきっと母にとっては、私は我が道を行く頑固な娘だったのだろうと思う。

話を戻すと、そういうのは遺伝することがあると言われているので、甥は生まれてすぐに検査した。

結果、軽度のアレルギーがみられたが、食べたあとに激しい運動をしなければいいらしい。そのことを守れたなら、多少は自由に食べてもいいと医者から許可を得ている。

その辺は学校も気を使ってくれているらしく、1限目と5限目の体育の授業は見学だ。時間割自体変更できればいいのだが、他の学年にも同じような体質の子がいるようで甥のためだけには自由にできないらしく、折衷案だという。

体質とは言え、そういう面でも窮屈な思いをさせているといつだったか妹が嘆いていたのを思い出した。

なんだか、急にいろんなことを思い出して寂しくなった。

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