第25話

文字数 409文字

妹の思惑通り、甥はピザの注文を喜び、妹の買ってきた果物をたべ満足していつもより若干早く就寝した。

そして、妹と二人っきりの時間になった。

「なんか、飲まない?」
と、お酒でも飲まないと話せない気がして誘ったら、飲むというのでワインを開ける。

普段、甥が起きているときは、社長夫婦が遊びに来たときくらいしかお酒を出すことがない。

一学年違いの友達同士で二人遊びをしているから、気兼ねなく飲めるからだ。

ワイン用に妹はチーズを用意してくれた。

場を作った割に、落ち着いているから妹は結構深刻なのだと察していたのだろう。
普段、短気でせっかちな人なのに、私からは話し始めるのをゆっくりと待ってくれた。

母の死によって、強いと思っていた姉が仕事も手につかなくなった姿を垣間見てから、少し妹の私への態度が変わったように思う。

この家を出るのを延期して、小学校を出るまでここにいると言い出したのはきっと妹なりに母の願いを聞き入れたからだと思っている。


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