第23話

文字数 568文字

聞き覚えのあるメロディが聞こえた。

昔のことを思い出していたら、スマホにメッセージが来たらしい。
表示が妹だったから、甥にそれを確認してもらった。

「もうすぐ帰るから、何か食べたいものはある?って書いてあるよ。」
と代読してくれる。

なんとなく、幼い頃具合が悪くなった時に母がプリンを買ってきてくれたことを思い出したので、甥に伝えると代わりに返事を書いてもらった。

子供はすぐにそういう操作を覚え、成長していくものだと感心する。

ネットでの買い物が苦手だった母が四苦八苦しているので、甥が入力担当だったのを知ったのは、母にがんの再発が発覚する少し前の時のことだった。

その頃、甥は小学校に上がり、妹が少しずつ1日の中で働く時間を伸ばし始めた時期。

今までは妹がやっていたネットスーパーでの買い物も、妹が出ていってしまうと母が自分で本格的に苦手なタブレットで注文しなければならなくなる。

そこで、何度か妹がいる時に教わったのだが、妹はそんなに丁寧に教えるタイプじゃないので案の定、一人で作業をし始めたら躓いたらしい。

それを見かねて手伝ってくれたのが甥だった。

妹がしているところを見て覚えていたらしく、
「おばあちゃん、ここはこうだよ。」
と、的確に指示して以来、妹の目を盗んで二人で一緒にという名目で、選ぶのは母、入力するのが甥という役割で、注文していたようだ。

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