第53話

文字数 525文字

先生方には多少なり心構えもあるらしい。

自分より少し上のベテランの担任は、こう言った場合最初に元気がないくらいが周りの子供たちも気遣い、徐々に元の状態に戻っていくことが多いと言う。

しかし、甥は違ったようだ。
さも何事もなかったように…風邪の発熱とかで急に休んで出てきたぐらいの状態。

10歳くらいの子どもにしては何事もなかったかのような大人びた態度。
異常を抱えている合図に感じたそうだ。

代わりに、時折イライラして物を叩いたり投げたりするようになったという。

担任も、立て続けに身近な人がなくなったことで様子見をしていてくれていたそうだが、もう手に負えなくなってきたときにこの事件が起きたというのだ。

「何か、想定以上の負荷が彼にかかったのだと思っているのですが、ご身内にご不幸があった中で大変だと思いますが、心当たりがありましたらどうか優しく接して上げてください。」

相手の生徒さんの保護者の方にもお会いし、怪我も大したこともないとなり謝辞だけ交わす。

一通り話合いを終え迎えに行ったら、保健室でしょんぼりしていた。
今日は、早退させると行ったら了承してもらえた。

うつむきながら車へと向かうその背中に、私はどれだけの負担をかけていたのだろう。
戻らない時間、重い時間。

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