第31話

文字数 391文字

ただ、その時の私はまだ、洗濯も食器洗いも全自動なのだから、それぞれに突っ込めば済むと思っていた。

そう思っていたから、その知識で反論した。
その日、どうやら妹は自分で説明するのが馬鹿らしくなったようで、社長の奥さんにSOSを出したようだった。

社長の奥さんの丁寧な説明を聞いて初めて、食器洗い機には予洗いが必要だとか、乾燥機付き全自動洗濯機は、埃取りが排水溝と排気口の両方必要だとか、そういう細々したことを全く知らなかったことに行き当たった。

母がいる時は、それらを二人で手分けしてやってくれていたらしい。

でも、今は違う。

甥はまだ幼く、彼女の手助けなしでは生きていけないが、姉である私は成人して毎日ではないが時間に余裕もあり、しかも文明の利器を大いに利用しどうすれば解決できるのか調べる術を持っている。

怒るのは当たり前のことなのだ。

手のかかる大人の面倒を見られるほど、妹は寛大じゃなかった。

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