第33話

文字数 319文字

紆余曲折を経て、母のおかげでやっと遠いようで近い関係性に戻ってきていたのに、突貫工事で作ったキヅナは、母の死であっけなく壊れていってしまったと私は感じ取っていた。

胃の調子がおかしいと気づいたのは、そんなぎこちない関係性に慣れ始めた母の三回忌の時だ。

仕事にかまけて、社長夫婦から

「年に一回くらいはきちんとドックにでも入って、自己管理しなさい。」

と言われ続けていた健康診断へ行き、結果を待つ日々が続いたころだった。

母の病気がわかって、妹と一緒に念の為に自分たちも検査しようと言って受けた以来数年ぶり。

なんとなく調子が悪いことも、仕事に没頭すると忘れてしまうので、久しぶりに集中的に受ける人間ドックのために検査入院しているある夕方のことだった。

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