第11話

文字数 366文字

私はというと、今の会社に出会えたことで、飛躍的に年収が上がり、生活に余裕が出始めた。

そして、思い入れが皆無になっていたあのアパートに見切りをつけ、今後のことを踏まえて中古だけどマンションを買った。

5階建ての低層マンションだったが周辺環境もよく母も気に入ってくれたので、母のためにリノベーションし2人で移り住んだ。

母と二人で暮らすには、十分な広さの我が家。
そのタイミングで、母は仕事を減らした。私の扶養に入ってもらったのがきっかけだ。

仕事が減った分、アパートではできなかったことを母は好き勝手にし始めて楽しそうだった。

庭はないが、少し広いベランダにはプランターで野菜も作って喜んでいた。

父という存在がいれば、きっと母は私達が子供の頃からこういうふうにしたかったんだろうと思うと、今からでも存分に楽しんで過ごしてもらいたいと願っていた。

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