第46話

文字数 412文字

記憶が何日もなくなる。
気持ちと行動が簡単に切り離される。

まさか、妹の死でこんな事が起きるなんて予想してもいなかった。

入院を社長は考えていたが、運悪く病室が空いてなく家に戻ってきたコトもきっかけだろう。

幼い甥への気遣いも、覚えてないがそれなりにしていたらしい事は後で奥さんが教えてくれた。

葬儀の事は殆ど社長が手配してくれた。
葬式の事で覚えているのは、甥の手を強く握って火葬場の重いドアを閉められて行くところだけ。

部屋の片隅に遺影と白い布に包まれた箱が置かれた代わりに、甥はしばらく社長宅で預かってもらっていたようだ。

私の事もしばらく社長宅に置いておく予定だった様だが、切り離された意識の中で私は固辞したらしい。

「仕事があるから。」
そう言っていたらしい。

心配しつつも、放っていたのは母の時より気丈に見えてたからだろう。

不思議なことに、日頃の責任感なのか受けていた仕事はこんな期間でも納期通りに納めていた。

大量のお酒の力を借りて。

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