未来が変わった?⑷
文字数 1,075文字
ルンルンと弾みながら、階段を上っていく。
え……、私は?
残されても困るんですけど……!
《クククッ。気にすることはないさ。もう修復不可能。アイツがどんなに頑張っても、結果は同じさ》
修復不可能?
彼女、誤解したままだし、2人を仲直りさせるにはどうしたらいいんだろう。
《おまえが余計な行動すればするほど、2人の仲はこじれるだけさ。これでいいのさ、あの男はあの“ガミガミ女”と別れて正解。おかげで死なずにすむんだからな。》
カイは死なないってこと!?
《ああ、そうさ。未来は書き換えられた。過去の人間とあまりかかわるなって言ったのに、始末書を書くはめになったじゃないか。》
《そういえば、バイク野郎が現世に思い残したことがなんだったのか、おまえ知りたがってたよな?》
……名無しさんは、知ってたの?
《ああ、知ってたさ。忘れたか、オレは人の記憶をのぞくことが出来るってことを》
知っていたのなら、なぜ教えてあげなかったの?
カイはそれを見つけるために、現世をさまよってたんだよね?
カイはそれを見つけるために、現世をさまよってたんだよね?
《仕方ないさ、オレにだって死神の
記憶がなかったなんて知らなかった。
カイが探していたものって、いったいなんだったの?
《2年後の2x06年7月9日の正午、奴はあの女と駅で待ち合わせしてたのさ。が、大 事 な 日 に寝坊しちまったアイツは、バイクを猛スピードで走らせ、黄色から赤に変わろうとする信号を突っ走り、横からきたトラックと衝突。スピードを出しすぎた原因は、家を出る前に彼女からかかってきた電話で、彼女の機嫌が悪かったからだろう。でも、これはもう来ることのない未来。今さら語っても仕方のないことさ》