新たな人生⑵
文字数 622文字
ママ！
2人ののテーブルはコーヒーカップだけで、食事をした形跡はなかった。
初樹！
初樹ちゃん！
よかった。戻ってきてくれたのね！
……ごめんね、ママ。
いいのよ。ちょっと急すぎたかなって。今、西園寺さんと話し合ってたところなんだけど、再婚はもう少し先にしようかと思うの。
えっ!?
知らないおじさんに突然、“君のお父さんになります”って言われたら、びっくりするよね。香さん、初樹ちゃんが戻ってきたことだし、食事にしようか？
ええ、そうね。
さあ、初樹ちゃん。食事にしよう。
ほら、初樹、座って。
西園寺さん、さっきは失礼な態度をとってしまい、本当にごめんなさいっ！
は、初樹ちゃん、頭をあげてよ。おじさん、どうしたらいいのか……。
……初樹。
ママ！ 西園寺さん！ さっきは本当にごめんなさい!!
初樹ちゃん……。
初樹、あなた一体どうしちゃったの？
ママ、本当にごめんね。ママには幸せになってほしいって、ずっと思ってたのに……。私は大丈夫だよ。私に気をつかって先延ばしにしないで。ママ、西園寺さんのそばにいると、本当に幸せそうだもん。見ててわかるよ。
初樹……！
西園寺さん、私……、すぐには“お父さん”って呼べないかもしれないけど、ママが選んだ人なら、安心してまかせられます。どうかママを────、母をよろしくお願いしますっ！
は、初樹ちゃん……！ 僕は君のことも大切にするから！ 約束するよ。
初樹、ありがとう。本当にいいの？
ママはうれしそうに、ハンカチで涙を押さえる。
うん！
