エピローグ

文字数 603文字

【10年後】
ママ、こわいよ。あのお兄ちゃん、なんかコワイモノもって、ユイのことずっと見てるの。
え?

 なにかしら、“コワイモノ”って?

 変質者?

ユイは家でまってて。ママが家のまわり見てくるから。
うん、気をつけてね!
 不審者らしき人、いないんだけどなぁ。


 海、今日早く帰ってくるといいな。


よう、久しぶりだな。美濃(みの)初樹(はつき)────いや、今は周防(すおう)初樹と呼んだほうがいいか?
え?

 この猫がしゃべったの?


 まさかね、猫がしゃべるわけ────……。

今、猫がしゃべるわけがない。そう思ったろ?
う、うそ、本当に?
時間がないから手短に言う。おまえの娘、周防(すおう)(ゆい)は新手の死神につけ(ねら)われている。なんせ、死神が見える目を()()()()()持ってるんだからな。
死神、の目?
気をつけろよな。今回はオレが追い払ってやったからいいものの、油断は禁物だぞ。もちろん、おまえもな。
え? 私も?
じゃあな。
まって、あなたは?
オレか? オレは死神の“名無し”だ。
ナ、ナシ?
そうだ。おまえがつけたんだろ。
え? ふふふ、なにそれ。
……フッ。ホント、オレって“バカ”がつくくらいお人好しだぜ。
『名無しさん!』

 そういえば、その名前に聞き覚えがある。
 いつだった?



 いつのまにか、死神の“ナナシ”と名乗る黒猫は消えていた。






 ***The END***

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登場人物紹介

美濃初樹

カイ

死神

ミナミさん

沙織

十一歳の初樹

沙織

【現在】

西園寺晶

初樹のお母さん

初樹のお父さん

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