未来が変わった?⑸
文字数 866文字
《クククッ。人間というものは、おかしな生き物だな。他人のことがそんなに気になるか? もう来ることのない未来なのに。まあ、いいさ。奴はその日、渡そうとしていたのさ、指輪をね───》
もしかして、プロポーズする気だったの?
《ああ》
……そっか。
彼女に思いを伝えられずに死んでしまったことが、彼の思い残したことだったんだね。
彼女に思いを伝えられずに死んでしまったことが、彼の思い残したことだったんだね。
《ちなみにあの花は、あのガミガミ女が供えたものだ。毎年、命日に現れる彼女を、アイツはいつも不思議そうに見てたぜ》
えっ!?
あのきれいなお姉さん、サオリさんだったのっ!?
全然、雰囲気がちがうじゃない。
《彼女もまた、自分のせいで奴を死なせてしまったことをずっと悔やんでたからな。これで、あの女の心も救われただろう。奴は死なないし、彼女もまた悲しい思いをしない。なぜなら、互いに違う道を歩むことになるのだからな》
カイも死なないし、彼女も悲しい思いはしない。 これでよかったのかな……。
《よかったもなにも、変わっちまったんだから、もうどうしようもないだろ。あの2人は、いつ別れてもいいような、もろいカップルだったんだから。ここまで持ちこたえたのが奇跡だ》
だけど、複雑だよ。
人の未来がこんなにも簡単に変わっちゃうなんて…………。
人の未来がこんなにも簡単に変わっちゃうなんて…………。
《クククッ。さあな》
なによ、もったいぶっちゃって!
教えてくれたっていいじゃない。
てか、そろそろ姿を現したら?
いつまでそうやって、人の頭の中で話す気よ!
教えてくれたっていいじゃない。
てか、そろそろ姿を現したら?
いつまでそうやって、人の頭の中で話す気よ!
《クククッ。まだ言ってなかったよな。オレはまだ、過去のおまえに“印”を付けてないんだよ。オレの姿が見えるとき、それは過去のおまえに印を付けたときだ。じゃあ、楽しく過ごせよ》
確か、ねらった獲物につけられる印だって言ってたよね。
その印は、いつどのタイミングで付けられるんだろう。