黒猫を追いかけて⑶

文字数 534文字

……死ん……だ? 私が?
う~ん、微妙なところ。
微妙って、なに……。
正確に言うと、生と死の境をさまよってるところ。ほら、後ろ見てみ。()()()()()()()()()()()()()
え?
 彼に言われたとおり、後ろを見る。
 そこには、うつろな目をしてぐったりと倒れている、もう一人の自分の姿があった。
……どういう、こと?
アンタはいわゆる、幽体離脱(ゆうたいりだつ)。肉体から魂が抜けちゃったんだよね。
ゆ、ゆうたいりだつぅ?
なんか、そんな言葉を聞いたことがあるようなないような……。

あっ!

寝てる自分をもう一人の自分が見てるっていう、アレか!

そうそう、飲み込みが早くてよかったよ。たまにいんだよね────……、
“はい、そうですか”って、納得する奴がどこにいんのよっ!?
おっと、アンタもパニックを起こすタイプか。
意味が分かんない。

なんで私が・・・・・・、私はただ猫を追いかけてただけなのに……!

 

 ……猫…………?


 “猫”というキーワードに、私の記憶がよみがえってくる。




 ……そうよ、猫を追いかけてて。



 その後、どう……しちゃったんだっけ?


 

 プップッ──────!


……うそ、私……っ!
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登場人物紹介

美濃初樹

カイ

死神

ミナミさん

沙織

十一歳の初樹

沙織

【現在】

西園寺晶

初樹のお母さん

初樹のお父さん

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