お化けじゃないの？⑵
文字数 867文字
わぁー、美味しそう。では、いただきま────……
それ食ったら帰れよ。親も心配してんだろ。
う、うん……。わかってるよ。
きのうの今日で、ちょっと気まずいな……。
食ったからには、いろいろと聞かせてもらおうじゃないか。見ず知らずのアンタをここまでも て な し てやったんだ。まさか、このまま「はいサヨナラ」で帰れると思ってないだろ？
……う……。
誰よ、カイだと思ったヤツ。
顔は似てるけど、性格ちがうじゃない。
で、俺の顔を見て、“お化け”だの、“成仏して”だのって、いったいなんなんだ？
えっ、
えーとぉ……。
なんて言おう。
まさか、「地縛霊のカイに似てるんです」なんて言えない。
そんなこと言ったら、余計怒られるか、頭がおかしいと疑われる！
……まさか…………！
え？
おまえ、俺のこと好きなのか？
……は？
だから、俺の気を引こうとしたのか。はっきり言って、それ逆効果だから。ていうか、俺、彼女いるからムリ。
えっ!?
ち、ちがいますからぁ～。
ちがうなら、なんの嫌がらせだよ？
……嫌がらせ？
そうだよ、きのうは大変だったんだぜ。アンタはいいさ、気を失っちまったんだからな。お化け扱いされた俺はまわりからジロジロと見られ、倒れてるアンタを放っておくこともできず、しかたなく連れ帰ってきてやったんだ。
そのぅ……、実は、きのうの記憶が途中からぷっつりとなくて…………。
おい、ふざけんなよ、思い出せよ。
あ！ そういえば、私以外にもお泊りしている子がいるんですか？
え？
さっき、ちょっとだけ話が聞こえて。ミナミちゃんのお友達が泊まってるとかなんとかって。
ああ、それ、アンタのことだよ。ミナ……、姉 貴 の友達ってことにしてある。
そうなんだ、ありがとう……。
言えるじゃん。
え？
「ありがとう」ってさ。ったく、ふらふらと道路に飛び出すなよな。俺が助けなかったら、アンタ確実に死んでたぜ。
……死ん、でた？
あっ！
思い出した、
私、名無しさんを追いかけてて……！
なにが“オレを追いかけろ”よ？
危うく、また死にかけたじゃない。
