2人の初樹⑴

文字数 334文字

なつかしい……。ここに来たの、何年ぶりだろう……。
え?
ううん。

 土日は、私にとって特別な日だった。 

 大好きなパパといっしょに、チョコの散歩に行くのがすごく楽しみだったから。


 パパが死んでから、ここにはあまり足が向かなかった。

 チョコは行きたがっていたけど……。

いくぞ、チョコ!
ワン。
 パパがフリスピーを投げると、チョコがキャッチしてパパのもとへ駆けてくる。
えらいぞ、チョコ。


 パパとチョコが、目の前にいる!


 うそみたい……!


 パパはこのすぐそばの道路で、飲酒運転の自動車に引かれて亡くなってしまった。


 あれは散歩帰りのときだった。

 チョコがパパのそばで、ずっとワンワン吠えていたのが頭に焼き付いて忘れられない。

…………。
 なるべくなら、ここには来たくなかった……。


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登場人物紹介

美濃初樹

カイ

死神

ミナミさん

沙織

十一歳の初樹

沙織

【現在】

西園寺晶

初樹のお母さん

初樹のお父さん

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