バイクのお兄ちゃん⑵

文字数 1,029文字

それじゃ、お兄ちゃん、お姉ちゃん、またね!
うん。
 ママの手料理か……。
『初樹、ごめん。朝忙しかったから、お昼ご飯作れなかった。さっき急いでコンビニでお弁当買ってきたから、お昼はそれ食べて!』
『うん、わかった。大丈夫だよ、ママ。お仕事、いってらっしゃい!』
 いつか、あの子にも、そういうときが来るんだ……。


……フラれた。


 へっ?


あ、あのね、相手はまだまだ子供だよ?
年なんて関係ないの。
えっ……。
あの子……、5年、10年経ってみ、きっといい女になってるよ。


 はっ!?


へ、ヘンタイッ!
あ?
てか、ロリコン。
は?

  誰が“()()()()”だって?

(カイ)しかいないでしょ。
なっ……! おまえ、なに呼び捨てなんかしてんだよ? 海くんだろ、海くん! “くん”付けろ、くん!
なによ。自分だって、私のこと“初樹”って呼んでたじゃない。
呼んでない!
呼んでた!
……ったく、可愛げがないなぁ。ぜってー、おまえとは付き合わない。
聞こえてますけど!
……ふぁー、よく寝たー! ……あれ、初樹ちゃん?


 まさか、私、寝込みを襲ったりしてないよね?


 

 ないか。

 ベッドに入ったとき、なにも感じなかったし……。それより!


『沙織ちゃん、朝まで寝かせる気ないから覚悟して』
や~ん、あれ私じゃない。なんであんなことになっちゃったのかしら。あの子は魔性の女よ。……あ、あれ?


 ……学生……証?


ねぇ……、あの後、彼女とは連絡取れたの?
ここに来る前に、彼女に会ってきた。なに、気になるの?
……海、叩かれてたし、私のせいでもあるから……! きのうはごめんね。ちゃんと謝れなかったから……。
なんで謝んの? あれは自分が招いた種なのに、その・・・・・・、初樹に八つ当たりなんかしちゃって、ホント情けないっていうか……。ごめん……。嫌な思いさせて、ホントごめん。
ううん。
彼女とは別れたよ。というか、フラれた……。
好きな人ができたって。

しかも、俺は()だけで、エッチが淡白すぎる、つまらない男だって。最後は本音をぶちかましてきやがった。

え……。

それは、なんてなぐさめたらいいのか……。


 ────ド……クンッ……。



 めまいが……。


 突然、頭が割れるんじゃないかと思うくらいの痛みに襲われ、私は頭を抱えてその場にうずくまった。


……初……樹?

初樹! 大丈夫かっ?


 なに……これ……っ!

 ものすごいスピードで、私の知らない映像が次々と頭の中に流れ込む。


初樹っ!?
────思い……出した。
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登場人物紹介

美濃初樹

カイ

死神

ミナミさん

沙織

十一歳の初樹

沙織

【現在】

西園寺晶

初樹のお母さん

初樹のお父さん

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