あの日の記憶⑶

文字数 747文字

きのうはホントごめんっ!
別にいいわよ。もう怒ってないし。
ホント? じゃ、俺たちまた────……。
ごめん、海くん。私、好きな人できちゃった♡
え? だって、俺のこと、まだ好きだって。きのう、ヨリを戻すこと考えてくれるって話じゃなかった? 俺、いろんな子と付き合ってみて気づいたんだ。やっぱり、沙織ちゃんが一番だって!
あー、それ、きのうまでの私だから。()()()と出会ってから、私、生まれ変わったの。
え? ミ・ナ・ト・さ・ん?
ねぇ、海くん。港さんの好きなものとか、嫌いなものとか教えて。あと、誕生日と血液型も。あ……、ちなみに今日の港さんの予定って────……。
まってまって、沙織ちゃん! 好きな人って、まさかミナト!?
えー、バレちゃった?
なんで? アイツ、()だよ?

(戸籍は男だけど)

好きになるのに、男も女も関係ないよ。
……マジ?
それに、港さん、エッチのテクがすごいの。朝まで寝させてくれなかったんだから♡ たまに見え隠れする男性っぽいところが、たまらないんだよね♡
……え?  テクとか、朝までとか、どーゆーこと!?
……はっ!
 なんで、今になってあんな夢を…………。


 夢、じゃない。

 あれは、あの日の記憶だ。
 私の中でぽっかりと空いた、あの日の────。


……は……つき……ちゃん……。


 え?


……ミ……ナミさん。
 寝てる。


 寝言?


 いつから、同じベッドで寝てたんだろう?

 あのときの黒猫は、名無しさんだった。



 ……見えてた?


 そうか!


 名無しさんが見えていたということは、あのときにはもう“黒星”がついてたんだ!

 7月11日。


 今日は運命の日。


 パパは私をかばって死んだんだ。
 なんでこんな大事なこと、私は今まで忘れてたんだろう…………!

パパ、待ってて……!
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登場人物紹介

美濃初樹

カイ

死神

ミナミさん

沙織

十一歳の初樹

沙織

【現在】

西園寺晶

初樹のお母さん

初樹のお父さん

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