地縛霊？⑴
文字数 587文字
思い出したところで、次はまわり見てみ！
まわり？
止まって、る……。
人、物、すべてのものの動きが止まっていた。
まるで、この世から音がなくなってしまったかのように。
どうして止まってるの？
どうして？
じきに動き出すさ、アンタの生か、死かが決まればね。
え？
なに、それ……。
生か、死かって……。
私、死んじゃうの……？
……なんでこうなっちゃったんだろう。
あー、やだやだ。
倒れている自分を見下ろし、感傷に浸る。
そっか、罰 が当たったんだ。ははは……。
そうだよ。私、ひどいことしちゃったの。今さら後悔するなんて、ほんとバカ……！
そんな辛気 くさい顔すんなよ。なにも、アンタひとりってわけじゃないんだからさ。
どういう、こと？
ほら、よーく見てみ！ 仲間ならイッパイいるじゃないか、こ・こ・に♪
え？
いいか。目を凝 らして、よーく見るんだ。じきに見えてくるはずだぜ！
な、なにが？
見ればわかるって。コツは、どこでもいい、一点だけ見つめるんだ。ほら、やってみ。
一点だけを、見つめる……？
あっ……！
すると、今まで霧がかかっていたかのように、スッと現れる半透明な人たち。
見回せば、どこもかしこも半透明な人たちがうじゃうじゃと動き回っていた。
まーた、アイツら、止まってる人たちにイタズラしてんな。
な、なんなのよ、あれ……。人の体を通り抜けたりしてるんだけど！
