運命のとき⑶
文字数 664文字
5分後に死ぬ───。
黒猫なんか、追いかけるんじゃなかった!
ぐいっと、地面から伸びてきた青白い手に足を捕 らわれる。
《……クククッ! どうだ、これは悪霊化した者たちの魂だ》
海もパパも、青白い手によって身動きがとれないでいた。
チョコだけが、パパの腕からするりと飛び降りると、11歳の私の後を追いかける。
チョコ! お願いっ!
《……クッ。また犬か。おまえには少しの間、大人しくしてもらおうか……》
チョコが11歳の私に追いついた途端、バタッとその場に倒れる。
それと同時に、まとわりついていた無数の青白い手がスッと消えていく。
まさか、死───……。
リン、リン、リン……。
道路の真ん中で、待ちわびる名無しさん。
11歳の私が、フラッと道路に飛び出ると────、
《……クククッ! どうやら、俺の勝ちのようだな。あばよ》
名無しさんがスッと姿を消した途端、それまで鳴り響いていた鈴の音がぴたりと止んだ。
ゴォ─────!