記憶を取り戻すために⑵

文字数 919文字

きゃはは、マジで? やった♡
じゃあ、まずはお試しということで……。
お試しとか、そんなのいいから、ウチら付き合っちゃお♡
ママ、どこ?
もう、離れちゃダメでしょ!
あっ、ママ!
 ……ここは──────。


 ゆっくりと目を開けると、いつの間にか私は、人込みのなかにポツンと立っていた。
 さっきまで、ビルの屋上にいたはずなのに……。
もしかして、今までのは……夢?
《……クククッ》
 突然、頭の中で不気味に笑う声が響く。



 ……この声っ!

《夢ときたか。おもしろいこと言うじゃないか。どうだ、生き返った感想は?》
 生き、返った?

 そうだ!
 私、名無しさんににチャンスをもらって……!
……本当に、生き返ったの?
 自分のほっぺたをムギュッとつねってみる。
イ……、


イッタ────イっ!

うそ、うそ、うそ、ホントにっ!? 夢じゃない! やったぁ! もう死神様々ね!

ママー、あそこに変なお姉ちゃんがいる!
シーッ!

だ、ダメでしょ、指をさしちゃ……!

……み……、

 見えて、る……。



 見えてるっ! 



 見えてるっ!!

《おい、よろこぶのはまだ早い。おまえには、これから選択権を与える》
 そういえば、“自分が進むべき道”って言ってたわよね。
 私の進むべき道、もう決まってるわ。
《なら、選べばいいだけのことさ》
 言われなくても、そうするし!
 で、どうすればいいの?
《なに簡単さ。おまえは、このあとオレを見つける。覚えてるだろ、ついさっきまでのことを。そして、その後はおまえ自身がどうしたいのかを選ぶんだ》
 だから私は、ママと西園寺さんに…………!
《おまえはこのあと、なにが起こるのか知っている》
ちょっと、私の話きいてる?
《このあと、なにが起こるのか知っているだろ?》
もしも~し! なんなの、聞く気ゼロ?
 そうよ、このあと、私は黒猫を追いかけて横断歩道へ…………!
《クククッ。そうだ。じきに、おまえはオレを見つける。あのとき、おまえはあきらめて帰ろうとした。そう、その道を選んでいたら────、わかるだろ? おまえは死なずにすんだのさ。ここで、おまえには選ぶ道、“選択権”を与えよう。オレを追いかけるか、否か…………》
お、追いかけるわけないじゃないっ!
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登場人物紹介

美濃初樹

カイ

死神

ミナミさん

沙織

十一歳の初樹

沙織

【現在】

西園寺晶

初樹のお母さん

初樹のお父さん

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