５年前の我が家⑵
文字数 566文字
自分の家にたどり着いて、ここが本当に５年前の世界なのだとわかった。
色とりどりの花に埋めつくされていた、なつかしの我が家。
本当に、来ちゃったんだ……。
あのとき、電話に出たのは、パパ。
すぐそこに、パパがいるんだ！
────ガチャッ。
いってきます！
……パ────……ッ！
パパ、まってよ！
幼い女の子が家から飛び出してくると、パパの腕にギュっと抱きついた。
まさか、あの子は…………！
うん！
それに、“チョコ”って……！
ワン。
……えっ……。
物陰からのぞいていた私のもとに、小犬が駆け寄ってくる。
あっ！ まってチョコ！
……チョコ！
すりすりと、私の足にすり寄るチョコ。
私がしゃがむと、チョコが飛びついてきて、頬をペロペロとなめる。
ふふふ、くすぐったいよぉ。
すっごーい、お姉ちゃん！
うわぁ、11歳の私、かわいい♡
いやいや、これは驚いたな。
あ……！
パパ……！
チョコは、私と娘にしかなつかなくてね。
ねぇ、チョコ。
もしかして、私だって気づいてるの？
ねぇ、お姉ちゃんもいっしょに行かない？ 散歩に。
えっ？
パパの顔を一目だけでも！
それ以上のことは望まなかったのに……、まさかの展開！
