ママの再婚話⑴
文字数 333文字
7月9日、木曜日。
今日は私の誕生日でも、ママの誕生日でもない。なにかの記念日や、特別な日でもない。
ここは駅前の大通りから一本横に入ったところにある、こぢんまりとしたレストラン。
3日前、ママから木曜の夜に外で食事をしないかと誘われたのだった。
まさか、こんなゴージャスなところとは!
赤い唇。
普段あまり化粧なんかしないのに……。
今日のママは、いつもと違う。
淡いピンクのスーツに、真珠のイヤリングとネックレス。
まるで、スクリーンから飛び出してきた貴婦人のように綺麗だった。