選択権⑴
文字数 565文字
私、
高校２年生、16歳。
2x09年７月９日、木曜日。
夕方の６時過ぎ、トラックにはねられて死にました。
女子高生の子、即死だって。
かわいそうに、これからだっていうときに……！
トラックの運転手さん、まだ30歳くらいの若いお兄さんなんだって。なんでも、深夜から走りづめだったそうよ。運転手さんもお気の毒ねぇ。
ああ。でも、横断歩道に飛び出してきたのは、女子高生のほうだって話じゃないか。いくらなんでも、そんな急には止められないよな……。
────死、んだ……。私が……？
…………。
おまえには選択権がある。現世に留 まるか、オレと共に冥府 へと行くか────。
……めいふ？
“死者の世界”。いわゆる、あの世だよ。
そうだ。
あの世……。
もしあの世に行ったら、パパに会える？
思い残すことがなければ、早く旅立ったほうがいい。
……あの世へ、旅立つ？
あんな幸せそうなママ、久しぶりに見た。
さあ、行こう。オレがあの世へと導いてやろう。
ちゃんと祝福してあげたかった。
もう2人を祝福してあげることもできないし、謝まることもできないっ！
わ、私……、行かないっ！
なっ……！
こ、こんなモヤモヤとした気持ちを残したまま、あの世には行けないよっ！
…………！
