新たな人生⑷
文字数 560文字
……なつかしいな。何年ぶりだろう、ここに来たの。
よくパパと一緒に、チョコの散歩に来てたなぁ。
チョコがまだ生きてるとしたら、もう老犬か……。
チョコは、この土手に捨てられてた。
確か、小学校に上がってすぐのことだった。
段ボールのなかに、ちっちゃな犬が入ってて、可愛さのあまり家に持ち帰っちゃったんだったよね。
…………！
遠くのほうで、チョコにそっくりな犬がこっちのほうをじっと見ている。
ワン！
あっ……、おいっ、どこ行くんだよっ！
チョコにそっくりな犬が私のほうに駆けてきて、勢いよく飛びついた。
わあ、人懐 っこいなあ。よしよし。
すみません、うちの犬が────……。
いえ……、あっ！
君、この間の、横断歩道の子だよね。
はい。先日は助けて頂き、ありがとうございます。
それにしても、チョコによく似てる。
それに、このお兄さんもやっぱりどこかで……！
あ、あの……！
めずらしいなあ。チ ョ コ が俺以外になつくなんて……。
チョコ？ やっぱり、チョコだったんだ！
…………！
チョコ、会いたかったよ。チョコは私のこと、覚えててくれたんだ！
ワン。
まさか……、君、初樹ちゃん？
はい。
あのとき、お見舞いに来てくれたお兄さんですよね。確か、名前は……海くん。
今度いっしょにチョコの散歩しない？
はい、ぜひ！
