正体がバレるとき⑵

文字数 889文字


 夢が現実となる。

 今日の夕方、(あかね)色に染まる空の下で。


 パパの運命のときが、刻々と迫ってる!


なにもできないの? 名無しさんは、死神がかかわっている死は、そう簡単には変えられないって言ってたけど……。

 7月11日。


 たとえ、運命が変えられないとしても、自分はまだなにもしてないじゃない。

 もしかしたら、1パーセントの望みだってあるかもしれない!

あっ! 黒星……っ!


 黒星をつけられなければ、もしかしたら過去を変えられるかもしれないっ!


え……、帰るって? どうしたのよ、急に。遠慮しなくていいのよ、初樹ちゃんが居たいだけ、ここにいてくれていいんだから!
ありがとうございます。2人にはとても感謝してます。誰かもよくわからない私に親切にしてくれたこと、一生……、ううん、絶対に忘れません。本当にありがとうございます。
どうしゃちゃったのよ、また来ればいいじゃない。そうよ、また来ればいいのよ。初樹ちゃんなら、いつでも大歓迎よ、海も私も…………! ねぇ、海、そうよね?
ああ。
ありがとうございます。そうですね、また……。
海、ほらもっと言って!
え……と……。
ミナミさん、ドライヤーの乾かし合いっこ、楽しかったです。海にはいろいろと迷惑かけちゃったけど、いっしょにいられて楽しかったよ。それじゃ、またね。
あっ! 海っ!
ん?
時間には余裕を持ってね。慌てずに、ちゃんと信号を見てね。じゃ、また。
…………?


 これでいいんだ!


 今振り返ったら、2人の前で泣いちゃいそうだから……。


ん? ん? ん? どーゆー意味?
こっちが聞きたいよ。
あーあー、2人はお似合いだと思ってたんだけど、残念。いいの、海? あんないい子、なかなかいないわよ。なんか、はじめて会ったときと顔つきが違うし、あれは覚悟をきめたって顔ね! 追いかけなくていいの?
俺は別に……。
はい、学生証っ!
これ……、アイツのじゃんっ!
部屋に落ちてたの。

はい、生年月日を見────る!

…………え?
初樹ちゃんの秘密。

ちなみに、ここの高校、私の母校で、来年から共学になるんだって♡

というわけで、学生証、届けにいってらっしゃ────い!

えっ……。
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登場人物紹介

美濃初樹

カイ

死神

ミナミさん

沙織

十一歳の初樹

沙織

【現在】

西園寺晶

初樹のお母さん

初樹のお父さん

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