「真の空手に構えなし」とはどういうことなのか?

文字数 1,138文字


組手の時、礼の次にすることは構えることです。

ノーガード戦法という例外もあるにはありますが、基本的には互いが構えた状態から攻防を行います。

しかし、それはスポーツ空手における試合の話であって、本来の武術空手に構えはないという説があります。

それはいったいどういうことなのでしょうか?


①構えている時間がない

組手試合は相手と一定の距離をとった状態で始まりますが、実戦はいきなり近接した状態から始まることがあります。

その場合、いちいち構えてから打ったり受けたりしていては間に合わないので、自然体の状態から直接攻防を始められるよう訓練する必要がある、という話です。


②こっちが構えると相手も構えてしまう

相手に構えを取らせてしまうということは、相手に心の準備をする時間を与えてしまうことでもあります。

そうなると、相手の準備が整う前に一気に畳み掛ける機会を失うことになります。


③一対一の戦いとは限らない

格闘技における構えとは、基本的には一対一の戦いを想定した構えです。
正面からの攻撃に強い分、背後や頭上からの攻撃には脆くなってしまいます。

よって、確実に伏兵がいないと言い切れる状況でない限り、多対一かもしれない戦いで一対一専用の構えをとるべきではありません。


④相手に情報を与えてしまう

格闘技や武術に詳しい人であれば、相手が構えただけでどんな武術を使うのか、どんな技が得意なのか、おおよそ分かってしまう場合があります。

相手のスタイルが分かれば対策も取りやすく、少なからず相手有利となってしまいます。



このように、スポーツ試合と違って実戦では構えない方が良い場合が多々あります。

ただし、絶対に構えてはいけないわけではありません。
実戦であっても構えた方が良い場合もあります。


①既に相手が油断なく構えている場合

もはや逃げ道がなく、真っ向勝負をするしかない場合、こちらも最大限の力を発揮できる構えを取るしかありません。


②あえて自分のスタイルとは違う構えをする

ボクサーのような構えをしておいて、いきなり蹴りを出す。
柔道家のように掴みかかると見せかけて、いきなり正拳突きを繰り出す。

こうした不意打ちが使える場合もあるので、ある程度は他流派の真似事をできるようにしておくのも良いでしょう。


③威嚇することで相手が引いてくれる場合もある

こちらが格闘技経験者だということをアピールすることで、相手が萎縮して引いていく場合もあるでしょう。

この場合、あまりマニアックな構えでは馬鹿にされてしまう可能性があるので、比較的メジャーな格闘技の構えをしましょう。



・結論

構えた方が良いかどうかは状況によって異なります。
スポーツではないからといって、無理して「構えなし」にこだわることはありません。

それでやられてしまっては本末転倒です。



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