審判の判定基準一例:組手試合

文字数 1,137文字


筆者は選手として出場するよりも遥かに多く、審判として試合に携わってきました。
せっかくなので、その経験で得たことを記しておきます。

まず、試合進行の仕方やジャッジに必要な動作は先生や先輩方が教えてくれましたが、判定基準についてはほとんど自己判断です。

どれくらい強く当たれば技ありを取るのかは個人の感覚任せであり、明確な基準はありません。
よって、試合にはどうしても審判運が絡んでくることになります。

とはいえ、選手間の力量に差がある場合は判断がしやすいので誤審はほとんど起こりません。
判断が難しいのは選手間の力量が拮抗している場合です。

防具付き組手の場合、本戦が同点に終わったら1点先取りの延長戦を行うことになりますが、その際は判定基準を本戦よりも若干下げます。
つまり、当たりが若干弱くても技ありを取るようにして、少々無理にでも決着を付けさせるのです。

それでも決着が付かない場合は判定によって勝敗を決することになりますが、その際の基準も教わりませんでした。
『見た感じ優勢な方を勝ちとする』
それだけです。

しかし、そうは言っても、全くの互角に見える場合もあります。
そんな時、筆者が判断材料としたのが『体格』と『級位・段位』です。

言うまでもなく、全くの互角だった場合、体格が小さい方の勝ちです。
体格が違うのに互角ということは、テクニックは小さい方が上ということです。

では、体格まで同じだとしたら?

その時は、級位・段位が下の者を勝者としました。
これについては大した意味はありません。経験が浅いにも関わらず互角、だからといって浅い方が努力しているとは限りませんし、そもそも普段の努力など試合には関係ありません。
ここまできたら、もう苦し紛れです。

では、級位・段位すらも同じだったら?

そこまでのレアケースは、公式非公式合わせて千試合以上はジャッジしたであろう筆者でもお目にかかったことがありません。
が、一応そんな時の切り札として、
『声の大きい方を勝者とする』
という基準を考えていました。

なにせスポーツですので。
スポーツ選手は声の大きい方が健全らしいですので。

実際には、声の大きさなど強さとは全く関係ありませんが、本人や保護者が納得してくれそうな理由といえば、それくらいしか思い浮かびませんでした。

それともうひとつ。
選手の片方が自分の教え子だった場合、贔屓していると思われてはいけないので、互角なら相手選手を勝ちとしていました。

ホームアドバンテージや身内贔屓というのは筆者が最も嫌うものです。

卑怯なことがしたいならスポーツではなく武術をやればいいんです。スポーツ化しておきながら卑怯なことをするなど本末転倒もいいところです。

そういうワケの分からないことをする空手家の存在は、百害あって一利なしです。

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