三戦立ちをすれば電車の中でもふらつかないというのは本当か?

文字数 822文字


組手試合で三戦(サンチン)立ちを使う選手を見たことがあるでしょうか?

筆者はありません。
自分で使ってみようと思ったこともありません。

空手経験者なら言うまでもなくお分かりでしょうが、三戦立ちは明らかに試合向きではありません。 窮屈で動きにくいからです。

では、いったい何のために三戦立ちは存在するのでしょうか?

以下の2つが主な理由と考えられます。

①金的を守るため
②不安定な足場で戦うため

試合では金的を狙われる心配はありませんし、足場もしっかりしていますから、三戦立ちが使われないのも当然のことと言えましょう。

一説によると、三戦立ちは船の上で海賊などと戦うために編み出された技術と言われています。
当然、船の上は揺れますから、地上で戦うのとは勝手が違います。小型船であれば尚更、機動力よりも安定感が重要です。

三戦立ちが編み出されたのは電車が誕生する遥か以前ではありますが、揺れる乗り物という点では共通しているので、応用が効くと考えるのも無理はありません。

というわけで、実際に電車に乗って(周囲に怪しまれない程度に)試してみました。

道場で教わった通り、足をハの字にして、臍と肛門を近づけるような感じで下腹を締めます。そして軽く顎を引き、肩の力を抜きます。

すると……

多少安定感が増したような気はしますが、吊り革に捕まった時のような確かな安定感はありません。正直、普通に立っているのと大差ありません。ちょっと大きな揺れが来るとたちまち崩れてしまいます。

電車の進行方向を向けば多少マシになりますが、混雑した車内で正面を向けるとは限りませんし、ましてや実戦で都合よく敵が進行方向にいるはずもありません。

結論。
電車で三戦立ちをしてもあまり意味はありません。

ただし、それは形骸化したスポーツ空手における三戦立ちの話であって、本来の武術空手には劇的に身体を安定させる技法があるようです。

それについては、話が初級者中級者向けではなくなってしまいますので、ここでは省かせていただきます。

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