道場をやめた後①居合道を始めるが…

文字数 790文字


道場をやめる数年前から、筆者は古流空手の研究を始めていました。
平成も終わりに近付くこの時代ともなれば、ネットや書籍によって様々な情報が得られるため、現代空手と古流空手の「質」の違いくらいは分かるようになりました。

ですが、所詮、独学では限界があります。
できるなら古流空手を本格的に学んでみたかったのですが、残念ながら筆者の生活圏には道場がなかったため、諦めて独学を続けるしかありませんでした。

しかし、それでは全く面白くもないため、今度は居合道の道場に通ってみることにしました。
筆者は剣豪が出てくる時代小説が好きなので、居合道には前々から興味を持っていました。
安物の模造刀を買って、独学で剣術の真似事みたいなこともしていました。

当然ながら今の時代、居合道は護身にはなりません。まさか刀を持ち歩くわけにはいきませんし、仮に戦争になったとしても、もはや刀の出番はないでしょう。

では単なる趣味かと言ったら、そうではありません。

江戸時代、成人男性の平均身長が155cm程度だった時代に、竹刀の3倍近くもの重量がある日本刀を自在に操る、その身体操作。
そこに日本武道の真髄があるのではないかと思ったのです。

実際、道場には筆者よりさらに小柄な女性もいましたし、道場主である先生に至っては、70歳を越える年齢で軽々と日本刀を操っていました。

体格や腕力が物を言うスポーツ格闘技とは違う。これこそが、私が長年追い求めてきた日本武道……。

しかし、筆者はこの道場をわずか半年足らずでやめることになります。

喫煙マナーが悪すぎました。

皆が稽古をする道場が禁煙でないという、おおよそ今の時代にそぐわない状況に、筆者の過敏な神経は耐えられませんでした。

古き良き伝統を受け継ぐのは素晴らしいことですが、そういうところはちゃんと現代の事情に対応してほしかったです。

居合道そのものは気に入っていただけに、とても残念でした。
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