空手はなぜ裸足で行うのか?

文字数 783文字


空手の練習は基本裸足です。
自主練ならともかく、道場や部活で靴などを履いて稽古を行うというケースは稀でしょう。

指導員時代、筆者を最も苦しめたのが冬の床の冷たさでした。

練習生として参加する本部道場は床が畳だからさほど気になりませんでした。しかし、指導員として赴く支部道場は小学校の体育館で、床はフローリングでした。
これが冬になると、身体が芯から冷えるほど冷たいのです。

冷たさは慣れれば我慢することができます。
ですが、精神的には我慢できても身体に及ぼす悪影響はどうにもなりません。

始めは膝に鈍痛がきました。
それから、内蔵にまで冷えが響いたのか、妙に胃腸の調子が悪い日が続くようになりました。

当時20代の筆者ですらこの有様ですから、40代だった支部長先生など「あっちが悪い」「こっちが痛い」と口癖のように訴える始末でした。

子供たちからは不調を訴える者はいませんでしたが、足の冷たさで練習に集中できていないのは明らかでした。

それでも、シューズを履いて練習するなどという選択はあり得ないご様子で、全く議題にも上がりません。
筆者がそれとなく訴えても一蹴されました。
どうやら空手家は意地でも裸足でなければならないようです。

組手では外国の格闘技術を惜しげもなく取り入れるのに、こういうところだけは古いやり方にこだわるのですから困ったものです。
護身術の観点からすると完全に害悪でしかありません。

そもそも、空手はなぜ裸足でするものなのか考えたことがあるのでしょうか?

温暖な沖縄だからですよ。
冬の寒さが段違いに厳しい本土で同じことをすれば、無理が生じるのも当然です。

先生方は、そんな理由を知ってか知らずか……いや、おそらく知らないのでしょうね(恥をかかせるのもどうかと思って尋ねませんでしたが)。

理由も知らず、ただ昔からそうだからというだけで健康を害してまで意地を張る。

それも現代空手です。
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