型編②大きな気合いを出す

文字数 679文字

本来、武術とは弱者のためのものです。

そして、弱者とは往々にして大きな声が出せないものです。

しかし、スポーツ化した現代空手においては、大きな声を出せる者が評価される傾向にあります。

特に型試合において気合いの大きさは重要です。『同程度の実力なら気合いの大きな方が勝ち』という判断基準を持つ審判もいるくらいです。
実際に筆者も、甲乙つけがたい場合には気合いの大きさで判定を決めたことがありました。

大声を出すのに特別な技術は必要ありません。ただ大声を出すだけで少なからず有利になるのですから、出せるものなら出すべきです。

しかし、審判としてではなく個人的な意見を言うのであれば、大声を出せないなら無理して出す必要はないと思います。

『声の大きい者が偉い』
『声が大きいのは良いこと』

これは脳筋スポーツ選手の価値観であって、武術とは関係ないからです。

実際問題、空手に限らず多くのスポーツ指導者たちは、ただ「大きな声を出せ!」と言うだけで、「なぜ大きな声を出す必要があるのか?」は説明しないでしょう?

なんとなく大声を出した方が良さそうだから、そのように指導しているだけで、理由など考えたこともないのではありませんか?
まさしく脳筋です。

「大声を出すのが恥ずかしい」

これは悪いことではありません。
ただ、そういう性格なだけです。

人の性格も考慮せず大声を強要する指導者の方がよほど悪質です。

しかし、そうは言っても、それが現代スポーツ界並びに現代空手界の現状です。

型試合に勝つ可能性を少しでも上げたければ、恥を忍んで大声を出すこと。それが有効な手立てであることに、何ら変わりはありません。




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