回し蹴りはなぜ型には出てこないのか?
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回し蹴りといえば、今や空手家の主武器と言っても過言ではないくらい多用されている技です。
蹴り技は回し蹴りしか使わない選手もいるほどです。
そんな回し蹴りが、どの流派のどんな型にも一切出てこない。
それはいったいなぜでしょうか?
答えは、回し蹴りが元々は空手の技ではないからです。
回し蹴りは、今から60〜70年ほど前にムエタイ(タイ式キックボクシング)から取り入れられた技です。
それに対し、型は100年以上前に作られたものですから出てこないのは当然です。
それだけと言えばそれだけの話ですが、筆者がそのことを知ったのは入門して7〜8年も経ってからでした。それまでは、回し蹴りは空手の技だと信じて疑いもしませんでした。
なぜこんなに時間が掛かってしまったのか?
誰も教えてくれないからです。
先生も先輩方も、このことには一切触れないのです。
筆者がこのことに気付いたのは、たまたま読んでいた格闘漫画に書かれていたからでした。
もちろん、だからといって、
「ムエタイの技を空手の技と偽って教えるなんて詐欺だ!」
などと言うつもりはありません。
他の武術から有効な技を取り入れるなどこの世界では当たり前のことですから、回し蹴りもそのひとつに過ぎません。
回し蹴りは、もう空手の技です。
しかし、型に回し蹴りが一切出てこない理由について、一言説明があっても良かったのではないでしょうか?
初心者はまだしも、黒帯を付けている人間がそんなことも知らないというのは、少々恥ずかしいことではないでしょうか?
ましてや、指導者が知らないというのは……。