一五

文字数 856文字


 日常生活を変えるもの。それは季節という名の変わり目。
 その変わり目は節。これもまた季節(シーズン)である。
 …変わるものとは、季節。それは事変とも云えるだろう。
 嗚呼、季節。
 時代の変わり目は、この世の中に嵐の前兆であるか如く大事が起こることを予測している。
 風雲…事変に乗じて、その才能をあらわし活躍する人。
 それを風雲児と云った。あ、そう言えば、二十年前にそんな人がいた。
 一つの小説を通して、多くの人々を感動させた伝説の人。あの時の感動を忘れた者はいないと言われる程だった。
 その小説のタイトルは「太陽の伝説」。著者は「佐倉歩実」である。
 佐倉歩実は引退して、今はもう思い出の過去の人になってしまった。世間の人はそう言うけれど、二度と会えないわけではない。この世界の何処かで必ず会えるだろう。いや、気がつかないだけだと思うけど…。
 二十年も経てばこの京都の街も大都会である。人が多く集まる場所、それが大都会。
 人が多く集まる場所だから魔が出現する。激動して確実に新しい時代へと進み行く。
 いくら時代が進んでも、魔の絶えることはないと断言ができる。人生に変わり目がある限り。人が生きていく限り変わり目はある。…人が生きていくこと自体、魔が絶えることはあり得ないのである。
 魔は自分自身を鍛えるための試練なのだから…。
 そこで人は言うだろう。「一体何が言いたいのか」というその一言だけを。心配しなくても物語は確実に続いている。その物語とは、予測できない未来についてである。「幸福になりたい」と、ただそれだけのことを…。
 二十四時間眠ることを知らない大都会。魔は形ではなく様々な働きとして至る所に現れ、絶えることのない試練を与えてくる。その試練に威風堂々と挑んでいくために、早坂一家はこの京都にやってきた。
「激しき航路に臨み強き一念で舵をとって行く。そして、未来への道を切り開き、幾海里も果てしなく、恐れなく進み行く。人生は航海、迫る荒波を乗り越えてゆく」…この物語は、これより新たに始まりを迎えるのであった。



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