Scene20 暗闇から光へ…。場所は、とある刑務所の門の前。
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門の付近に、一人の男性が立っていた。海里は驚いた。
海里「パパ…」
海斗「お姉ちゃん、本当なの?」
海里「うん。…間違いないよ」
海里と海斗は、その男性に近付いた。
海里「パパなのね」
孝夫(パパ)「海里に海斗、よく来てくれたね」
海里「やっぱりパパだ!」
海里は孝夫(パパ)の胸に飛び込んだ。
海斗「パパ、無事だったのだね…」
孝夫(パパ)「お前たちに話したいことがあるんだ」
海里「もう何処にも行かないよね?」
孝夫(パパ)「海里、ごめんな…」
海里「えっ、そんなのやだよ。せっかく会えたのに…」
海里は、泣き出した。
海斗「お姉ちゃん!」
海里は泣き顔のまま、海斗の方に振り向いた。
海斗「…パパの言いたいことを、僕と一緒に聞こうよ」
そう言った海斗は、涙を零していた。
海里「海斗…」
海里は、海斗の横に並んだ。
孝夫(パパ)「海斗、たくましくなったな。これからはママとお姉ちゃんを守っていくんだぞ」
海斗「はい」
孝夫(パパ)「海里、ママに会いに来てくれたんだね。ママは、いつもお前に謝っていたよ」
海里「ママが…」
孝夫(パパ)「ああ。そして、海里に、パパからお願いがあるんだが、ママのこと、許してやってほしいんだ。すぐには無理かもしれないけど、ママはお前と仲良く暮らしたいと言っていたよ」
少し間を置いてから海里は言った。
海里「パパ…その前に、わたしもパパに言いたいことがあるの…」
孝夫(パパ)「何だい?」
海里「あの日、パパにひどいこと言って、ごめんなさい。わたしと仲直りしてくれますか?」
孝夫(パパ)「当たり前じゃないか。お前と海斗は、パパの大事な子供だよ」
海里「パパ、ありがとう。ママと仲直りするから、パパ、安心してね」
孝夫(パパ)「海里は、本当に優しい子だね…」
海斗「お姉ちゃん、もうすぐ時間だよ」
孝夫(パパ)「海里…パパの姿はなくなるけど、魂は永遠だ。お前と海斗の心の中にいつもいるよ」
海里「パパ…。わたしたちのために、ありがとう」
孝夫(パパ)は、笑顔で手を振りながら、その場から去って行った。
すると、刑務所の門が開いた。