二五

文字数 798文字


 昼休み。それぞれの時間を自由に過ごす。職員室では貢と仁平がお互いの再会を喜び語り合っていた。
「仁平、お前とここで会うとは思わなかったよ」
「貢、俺もだよ」
「まあ、世の中、狭いってことだな」
「この嬉しいサプライズに乾杯したいところだな」
「そうだな。今度、三人で乾杯しようか?」
「三人?お前、奥さん連れて来る気か」
「いや、リンダじゃなくて、鴇だよ。覚えているだろ」
「ああ、あいつか。実は俺、あいつに会っているんだ」
「そうだったのか。じゃあ、話が早いや」
「あいつ、サッカーチームを作って俺も参加しているんだ。お前もどうだ?」
「まあ、仁平がサッカーやっているのは意外だったけど、俺も仲間に入るよ」
「そうか。これで戦友が揃ったわけだ」
「戦友って?」
「ああ、俺たちのチームは昔、情報屋で一緒に戦ってきた戦友の集いなんだ」
「じゃあ、まさか…」
「そう、お前の思っている通りだよ。丸清淳と丸清結惟と、その息子の和之君と浩之君。そして君子さんの弟の葛西来人君。俺の弟の庄平と、鴇と俺ということ。つまり、後、二人なんだ。結惟はマネージャーなんで試合には出れないし、お前が入って、残り一人になった。まあ、そこは助人で補うことになるだろう」
「…と、いうことは、淳と結惟は結婚していて、和之君は正式に養子になって、この京都にいるということだな」
「まあ、そういうことだ。これで俺たち情報屋の戦友が五人揃ったわけだ」
「じゃあ、乾杯は五人でやろう。懐かしき日々を語りながらな」
「ああ、そうだな。大きなサプライズになって良かったよ」
 この会話の中でも出てこなかったが、出門仁平は社会の先生である。特に日本史は得意分野だ。まあ、仁平らしいといえば、仁平らしい。そしてまた吹奏楽部の担当でもあった。後に演劇部との関係が深くなる予感をさせていた。
 この二人の話は一旦ここでお開きにして、五人が集えることを夢見て、後の楽しみに取っておこう。



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