Scene7 場所は、とある競馬場。
文字数 2,038文字
伊都子(ナレーション)「次の日、海里さんは海斗君と一緒に競馬場に来た。まさかとは思うけど…」
暗闇から光へ…。
海里「海斗、本当に大丈夫なの?」
海里は周りを見てオドオドしていた。
海斗「大丈夫、僕の予想は完璧だよ」
海里「…それもそうね。海斗はトランプとかの賭け事は得意だったね」
海斗「それに、お姉ちゃんは、まだ僕に勝ったことないしね」
海里「海斗、それ一言多いよ」
伊都子(ナレーション)「まさかが当たってしまいました。なんと、この姉弟はレースで賭け勝負をしていたのです」
海斗「…ほらね。お姉ちゃん、勝ったでしょ」
海里「海斗すごいじゃない。万馬券よ」
海斗「これで、行けるよね」
海里「うん!」
中村「そこの二人、ちょっと待ちな」
不良と思われる三人組に海里と海斗は囲まれた。
海里「何ですか、あなたたちは」
山田「ここは、お譲ちゃんたちのような子が来る所じゃないんだよ。その万馬券をよこしな」
山田は海里が万馬券を持っている方の手首を掴んだ。
海里「これは、わたしたちの大切なものです。放して下さい」
海斗「そうだよ。その万馬券は僕たちが勝負して勝ったものだ。お姉ちゃんを放せ!」
篠原「うるせえよ、このガキ」
海斗は篠原の膝蹴りを腹部に受けた。海斗は蹲った。
海里「海斗!」
山田「さあ、お譲ちゃんたち、素直に警察に補導されようね」
伊都子(ナレーション)「海里さんと海斗君がピンチです。さあ、ここで我らが正義のヒーロー瑞希先生を、みんなで呼びましょう。…って、海里さん、これ本当にやるの?」(ここで大爆笑!)
海里「そうだよ。じゃあ、みんな、わたしと一緒に、元気よく瑞希先生を呼ぼうね!」(子供たちが「はーい」と返事)
海里&子供たち「せえの…瑞希先生!」
突然、暗闇になった。すると、一筋のthunderboltの光と激しい爆発音が響いた。
海里「か、雷が苦手な子、いるかな?」(何人かの子供たちが「はーい」と返事)
海里「わたしも雷が苦手だけど大丈夫だよ。だって強い子だもん。みんなもそうだね」(子供たちが「そうだ」と返事)
光の中とドライアイスの煙の中から…。
瑞希先生「正義のヒーロー瑞希先生、参上!」(子供たちは大はしゃぎだ)
瑞希先生は両手を腰に当てポーズを取っていた。そして、全体の光へ…。
山田「お前、それはちょっと…」
伊都子(ナレーション)「光の中から、瑞希先生、ついに登場。…って、海里さん、やっぱりこれは恥ずかしいよ」
海里「だーめ、恥ずかしがっていちゃ。今、盛り上がっているのだから…ね、みんな!」(「そうだ」と子供たち)
伊都子(ナレーション)「えーん!」(またまた大爆笑!)
瑞希先生「海里さんもそう言っていることだし、必殺技の一つ問題攻めだ!」
瑞希先生は、ここでもポーズを決めた。
山田「何じゃ、そりゃ?」
瑞希先生「さて、問題です。補導されては困るのは、この子たちじゃなくて、君たちじゃないかな?」
山田「お前には関係ことだ。黙っとかんかい!」
瑞希先生「なめとんのか、われ!」
瑞希先生は山田の胸倉を掴んだ。
海里「あ、あの…瑞希先生?ちょっと怖すぎますけど…って、聞いていませんよね…」
瑞希先生「よくもわたしの生徒を可愛がってくれたな…おっ!落とし前つけて貰おうじゃねえか!」
瑞希先生は山田の胸倉から手を離し、指の関節を鳴らした。山田は海里の手首から手を放した。
海里「あの…ここは話し合いと言うことで…って、これも聞いていませんよね…」
瑞希先生「問答無用!この技を受けてみろ、正義の鉄拳、メガトン拳骨だ!」
瑞希先生の拳骨が山田の頭上に炸裂した。
山田は両手で頭を押さえた。本当に痛そうだ。
山田「お、お前、こんなことをして、ただですむと思うなよ…」
瑞希先生「ほう、じゃあ、どうなるって言うんだい?」
山田「お前ら、引き上げだ!覚えてやがれ!」
山田と篠原と中村は、その場から去って行った。
瑞希先生「ふん、もっと骨のある奴かと思ったけど、弱すぎる。もう忘れちまったよ!」
伊都子(ナレーション)「なんと瑞希先生、あっさり不良さんたちを蹴散らしました。でも、海里さんは、不良さんたちより瑞希先生の方が怖かったと、後日、わたしにこっそりと言っていました。…うふふ」(更に大爆笑!)
瑞希先生「…海里さん!」
瑞希先生が頭グリグリの刑の構えをした。
海里「あ…あの、瑞希先生…。わーん…伊都子さん、助けて!」
海里は後退りになった。
一瞬で暗闇へ…。海里の「きゃあ!」という悲鳴が聞こえてきた。そして静かになった…。(もっと大爆笑!)
伊都子(ナレーション)「さて、海里さんの運命はいかに…。あっ、すみません、お話が脱線したようですね。瑞希先生は海里さんと海斗君を不良さんたちから守りました。でも、海里さんと海斗君がやったことも、いいこととは言えませんね。瑞希先生はどうするのでしょうか」