Scene12 場所は、船の中の部屋。

文字数 1,150文字


  一つのテーブルを囲んで、海斗と伊都子と未来は、トランプをしていた。
 未来「海里は、まだ着替え中かな?」
 伊都子「着替え覗いちゃ駄目だよ」
 未来「そんなことしないよ。なあ、海斗」
 海斗「そうだよ。そんなことをしたら、お姉ちゃんに張り倒されるか、投げ飛ばされるかかのどちらかだよ」
 未来「海斗…。それ俺の台詞だよ。それに、着替え中に来た方が、よっぽど怖いよ」
  部屋のドアが開いた。
 海里「お待たせ。じゃあ、海斗、勝負しましょうか」
  海里は頭にタオルを巻いて、パジャマを着ていた。未来はずっこけた。
 未来「…って、お前なんだその格好は?」
 海里「ついでにシャワーも浴びたのよ。服は洗濯して乾かしているし」
 伊都子「海里さん、そのパジャマも可愛いね」
 海里「そう?この間、デパートで見付けたの。今度、一緒に行こうね」
 伊都子「うん!」
 海斗「さあ、話はその辺にしといて、お姉ちゃん、勝負しよう」
 海里「今度は負けないよ」
 海斗「僕に勝てるかな?」
 未来「おいおい、お前らだけで盛り上がるなよ」
 伊都子「海斗君は手強いみたいね」
 伊都子(ナレーション)「わたしたちはトランプでババ抜きをしていました。海斗君はやはり強くて、わたしたちは敵いませんでした。でも、負けず嫌いの未来君や海里さんが、海斗君に勝とうと、何回も挑戦しました。そして、十回目を迎えた時でした。未来君は海斗君と一騎打ちをするところまで追い上げてきました」
 未来「さあ、海斗、覚悟せえよ」
 海斗「ふふふ…それはどうかな?」
  未来は海斗のトランプを一枚、引いた。(ババだった)海斗は未来のトランプを一枚、引いた。(ババではなく、揃いもした)そして上がった。海里と伊都子のトランプは、まだ残っていた。海斗は、また一番乗りだ。
 未来「くう…。もう少しだったのにな」
 海斗「未来さん、おしかったね。でも、僕には勝てないよ」
 未来「大した自信だな…」
 海斗「だって、お姉ちゃんもそうだけど、未来さんも顔に出ているもの」
 未来「…だってさ、海里。どうする?」
 海里「もう海斗ったら、すぐ調子に乗るから…。じゃあ、明日、卓球で勝負しようよ」
 海斗「僕は少し苦手だけど、それくらいはハンディを付けといてやるよ」
 海里「まあ、生意気。コテンパンにやっつけてあげるから、覚悟してね」
  海里と海斗は早くも火花を散らしていた。
 伊都子「二人とも、わたしがいること忘れてないかな?」
 海里&海斗「伊都子さん…?」
 伊都子「わたしは卓球の女王様だからね。卓球だけは誰にも譲れないよ」
 伊都子は鬼の形相で、目が燃えていた。
 未来「あ…あの、伊都子さん…?ちょっと、必要以上に怖いのですけど…」
 伊都子「何か文句ある?」
 未来「いいえ…何もありません」
  暗闇へ…。



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