Scene1 場所は、とある港。

文字数 950文字

 
 恭平「悪いな、お前まで、付き合わせてしまって…」
 未来「いいってことよ。それより、お前のいとこが待っているんだろ?」
 恭平「確かここで待ち合わせのはずだったんだが…」
 未来「おっ、可愛い子ちゃん発見。俺、ちょっと声掛けてくるわ」
  外灯の傍に女の子がいる。未来は、女の子の方に駆けて行った。
 恭平「おい、未来…。まったくしょうがない奴だ」
 未来は、女の子に優しく声を掛けた。
 未来「君、一人?誰か待っているの?」
 女の子「うん、ちょっと…。弟とはぐれちゃって困っているの」
 未来「まあ、何だ。こういう時は、俺たちとお茶でもして、少し落ち着こうね」
  未来は女の子の肩に手をポンッと置いた。すると…。
 女の子「何するの!」
 女の子は、そう叫びながら一本背負いで未来を投げ飛ばした。未来は地面に叩きつけられた。
 未来「いたたた…」
 女の子「…あっ、またやっちゃった。ごめんね、大丈夫?」
  女の子は心配そうな表情で、未来の顔を覗き込んだ。恭平は二人の傍に駆けて来た。
 恭平「君、ごめんな。俺の連れが失礼なことをしたみたいだね」
 女の子「こちらこそ、あなたのお友達を投げ飛ばしてしまいまして…。この人、大丈夫でしょうか?」
 恭平「大丈夫、心配いらないよ。こいつにはいい薬だ。それより君は、もしかして…」
 恭平が、そう言いかけた時、男の子が、女の子の傍に駆け寄って来た。
 男の子「お姉ちゃん、一人で何処か行っちゃ駄目じゃないか。それに、また人を投げ飛ばして」
 女の子「ごめん」
 恭平「君たち、もしかして…海里ちゃんに、海斗君かい?」
 海里「はい、そうですが…」
 海斗「あっ、恭平兄ちゃん?」
 恭平「そうだよ、久しぶりだね」
 未来「恭平、お前のいとこって、こいつらなのか?」
 未来は、そう言いながら起き上がった。
 恭平「ああ、俺のいとこだ。じゃあ、行こうか」
 四人は、この場から歩き出した。
 光から暗闇へ…。
 伊都子(ナレーション)「梅雨が明けそうな六月の風の中、わたしのクラスに転校生が来ました。その転校生は女の子で、瑞希先生の紹介では、名前は海里さん、アメリカから来たそうです。海里さんのお父さんは航海士で、彼女のお父さんが航海に出ている半年の間、わたしたちのクラスで海里さんを預かることになりました」



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