第23話 晶死病(バラのハナワ)
文字数 3,780文字
ケートスとの交戦から一週間後、アスラさんのお見舞いをしているとき、モードレッドさんが病室の中に入ってきた。
「どうしたんですか」
そう尋ねると、大事な話しがあるとのことでその場でマーニさんと一緒にイスに座るように勧められた。
「それで大事な話しなんだが、アスラさんの魔力生成度も安定してきて魔石による余波もほとんど見受けられなくなったから今日にでも退院しても大丈夫だ。
だが次はあれを絶対に取らないようにしてくれ」
「はい、善処します……」
「そしたらモードレッドさん、アスラさんは完全に退院できたと言うんですか」
「そうだな」
「ふぅ、よかったこれでまた一緒に冒険にいけるね」
安心して一息つくと、アスラさんが申し訳なさそうに頭を少し下げた。
「ごめん迷惑をかけた」
「じゃあ、今日はアスラの退院祝いでパーティーをしましょう」
バタンッ
マーニさんが言い終わると突然、病室のトビラが勢いよく開かれた。
病室に入って来たのは誰かと思い、視線を移すと。
新緑の髪に魔法使いの格好、そう以前この都市に向かう船で会った、帝国四英雄のミーナさんだ。
「ハァハァハァ、ここにいたモードレッドくん」
「ミーナ、なんでここに」
「助けて、お願い」
彼女は息を切らしながら、彼に助けを求めるようにすがり付いた。
一体、何があったのだろう?
そのまま、彼女の案内で港に停めていた帝国の軍船の中に入ると。
「いてぇよ、いてぇーよ!!!」
ザンッ
帝国の兵士の悲痛な声とともに信じられない光景があった。
ベッドで横になっている帝国の兵士の腕や足などに紫のオーラをまとっている、無数の濃い紫の結晶、魔獣結晶が生えていたのである。
「なんですかこれは魔獣結晶が生えている」
俺がそう言うと、ミーナさんはどうすればいいのか分からず頭を抱えていた。
「そうなのよ、ボクの再生のマギアでも回復できないからどうすればいいのか」
しかし、モードレッドさんはその兵士の腕の結晶を見て話した。
「これは晶死病だな」
「なんですか晶死病というものは」
「晶死病と言うものは、発症すると全身の倦怠感と寒気と高熱を発する。
そして体中に内出血を起こして、そこから魔獣結晶が生えてくる恐ろしい病気だ。
今はまだ内出血は起こしていないが、3日後には全身内出血を起こしてそこから血液が魔獣結晶になって死に至る」
話しを聞くだけでとても恐ろしい病気だ、魔獣結晶と言っていたし、なんか魔獣と関係があるのだろうか。
「助けてモードレッド、彼らは帝国の兵士で僕たちの大切な仲間なの」
「モードレッドさん、この病気は感染症ですか」
アスラさんがそう言うと、彼は考えごとをしている顔でうなずいた後、話し始めた。
「感染症だ。
空気感染はしないが、感染者の魔獣結晶や血液に触れると感染する」
「じゃあ、ボクはなんで感染しないんだ。
ボクはずっと彼らの近くにいたのに」
確かにミーナさんの言う通り、彼女は感染者の近くにもいたのになんでこの病気にならなかったのだろう。
「恐らくだが、キミの再生のマギアがその病気に対する抗体を持っているのだろう」
「そしたら、そしたら、その抗体で薬か何かを作れば」
彼女がそう提案しても彼は無言で頭を横に振った。
「いいや、マギアの魔力はあまりにも複雑で再現ができないんだ。
ところでなぜこんなことになったんだ」
「それがそのキミたちと別れた後、帝国の方針で各地で動きが活発化している魔獣を討伐することになっていたのだけど。
船でたまたま海にいた色欲の魔獣の群れと戦ってそこにいたのは討伐できたのだけど、その数日後ボク以外のみんな感染してしまったの」
色欲の魔獣に当たる、一度遭遇したサソリ型の魔獣テュルペと聞いた話だけではあるけどヤギ型の魔獣ギプソフィラ。
その二体は暴食の魔獣と異なり、自身に対する防衛ではなく、相手に病気をばら撒く魔獣なのか。
「治療方法とかはないんですか」
マーニさんがそう聞くと、彼は知っているのかアゴに手を当てながら話し始めた。
「治療方法は、禁忌の島にいる色欲の魔獣から取れる高純度の魔獣結晶があれば特効薬を作れる」
「そしたら、今すぐにでもその色欲の魔獣を倒さないと」
その話しを聞き、早速外に出ようとするミーナさんを彼は一言いった。
「それは無理だ」
「なんで止めるんだい。
命がかかっているんだよ」
「いいや、君の命もかかっているからだ!!!
旧魔王都市エクスカリバーには怪物がいる」
旧魔王都市エクスカリバー、先生やマスターからも聞いたことのない街の名前だ。
それと怪物ってなんだろうリンネがいるのか、でもリンネは暴食だけだよね。
そんなことを考えていると、彼女が話し始めた。
「えぇそうよ、王様には危ない島と言われているけど、でもたかが魔獣ぐらい転生者にかかれば簡単に倒せるわよ」
モードレッドさんは、彼女の肩を掴んで止めて先ほどよりも深刻な顔で話し始めた。
「ミーナ、なぜエクスマキナ王は危険だと言ったか分かるか」
「いいや分からない」
彼は、言葉を震わせながらゆっくりと話した。
「あそこには色欲の魔獣などの十二の魔獣のほかに魔王軍幹部と魔王とエクスマキナ王しか知らない歴史に消された魔獣がいる。
その名は、全ての魔獣の祖である原罪魔獣ニゲルだ」
「原罪魔獣ニゲル?」
「そんなに強い魔獣なんですか」
「そうだ、かつてエクスカリバーと言われた都市があったが、その魔獣が現れたことによってその国にいた六十六万の命が六日のうちにその魔獣一体によって全て喰われた。
その後は、住民を避難させた後、魔王様によって島ごと封じたが、いつあの魔獣が動き出すか分からない。
そのため、今でも自分はその魔獣に動きがないか監視している。
だが、動きがあっても周囲の地域に避難を呼びかけるしかできないが」
しかし、ミーナさんは再び足を止めようとはしなかった。
「それでもボクは行くから、何もできないままなんて嫌。
もう、後悔なんてしたくないから」
「ミーナ!!!」
バンッ
彼女はそのまま外に出て行った。
「まったく、話の聞かない人だ」
モードレッドさんも頭を抱え込んでそう言った。
そうだよね、愛している人だもんね。
すると横であまり喋っていなかったアスラさんが彼に話しかけて行った。
「でもモードレッドさん、彼らを治さないとそのうちこの都市にも晶死病が蔓延するんじゃないですか」
苦い顔をしながら、彼はうなずいた。
「確かにアスラさんの言う通り、晶死病の原因となるものも突然変異によって空気感染する可能性も高い。
だが、ここ最近動きが見えないが原罪魔獣を刺激させて、動きが活発化させるわけにもいけないわけだけどな」
「そしたら、その島で色欲の魔獣だけを倒す方法しかないわよね」
そうだよね、マーニさんの言う通り結局のところ魔獣ニゲルに気づかなければいいのだから。
何もしなかったら、アスラさんの言う通り、この地域の住人の人たちも苦しむことになってしまうから。
「やろうよ二人とも、ミーナさんと協力して原罪魔獣を目覚めさせないで、色欲の魔獣だけを倒すように」
「そうですねマコトとマーニの言う通り、それが今の一番の最善の方法ですね」
「オッケー、先輩の力見せてあげるわよ」
「ありがとう三人とも」
「モードレッドさん、任せてください。
俺たちは魔王軍三勇者だから」
「本当は止めたいがこれしか方法がないのがな。
体調が悪くなったり帰ってきたら、すぐにこの病院に戻ってきてくれ。
自分は医者だから」
「分かりました、じゃあ行ってきます」
そして、彼と別れて外にいるミーナさんのところに向かった。
そして、外で空に向かって何かを呼ぼうとしているのだろうか、立っていた彼女に自分たちも協力すると事情を話した。
「三人ともありがとうね」
「いや、俺たちは勇者だから。
困っている人たちを助けないといけないから」
「いやぁ情けないわ、一応人から英雄と呼ばれているのに。
ついていくんだったらもう一羽、仲間を紹介するね。
ピィーッ」
バササッ
彼女の口笛に共に現れたのは、人の数倍はある巨大なカモメのような海鳥だった。
地面に着地するとミーナさんに懐いているのか、頭を擦り寄せてきた。
「この地域に住む巨鳥種のモンスター、アルビオンカモメのアルビよ」
「かわいいー!!!」
するとマーニさんがそのカモメに体から突っ込んだ。
モフッ
「モフモフしてる」
そう言うと彼女は奥へ奥へと進み、完全に羽毛に隠れて見えなくなった。
「エーン」
そのカモメもご機嫌そうに翼を広げて、空に向かって喜ぶように鳴いた。
「じゃあ、俺も触ってみようかな」
そして、俺が恐る恐る触ろうとすると羽を大きく広げて威嚇してきた。
「エーンッ」
「うわっ」
「マコトは下がっていて」
すかさずアスラさんが間に入ってきて、鋭いクチバシで突こうとしてきたカモメを足止めしてくれた。
「ありがとうアスラさん」
「ごめんなさいねこの子、オスだから男の人は嫌いなの」
だけど、そのカモメはアスラさんを見ると、気分が良くなったのか、嬉しさを表すような鳴き声をあげた。
「フフッ、アスラちゃんは可愛い女の子だから。
気に入ったようね」
すると彼は呆れたようにムスッとした顔になった。
「はぁ、一応僕男ですけど、こらやめろ。
突くな」
「エーンッ」
「えっ、そうなの、ずっと女の子かと思っていたわ」
まぁ、まぁやっぱりミーナさんやアルビオンカモメのアルビも間違うんだ、そうだよねあんなにかわいいと間違えちゃうよね。
「どうしたんですか」
そう尋ねると、大事な話しがあるとのことでその場でマーニさんと一緒にイスに座るように勧められた。
「それで大事な話しなんだが、アスラさんの魔力生成度も安定してきて魔石による余波もほとんど見受けられなくなったから今日にでも退院しても大丈夫だ。
だが次はあれを絶対に取らないようにしてくれ」
「はい、善処します……」
「そしたらモードレッドさん、アスラさんは完全に退院できたと言うんですか」
「そうだな」
「ふぅ、よかったこれでまた一緒に冒険にいけるね」
安心して一息つくと、アスラさんが申し訳なさそうに頭を少し下げた。
「ごめん迷惑をかけた」
「じゃあ、今日はアスラの退院祝いでパーティーをしましょう」
バタンッ
マーニさんが言い終わると突然、病室のトビラが勢いよく開かれた。
病室に入って来たのは誰かと思い、視線を移すと。
新緑の髪に魔法使いの格好、そう以前この都市に向かう船で会った、帝国四英雄のミーナさんだ。
「ハァハァハァ、ここにいたモードレッドくん」
「ミーナ、なんでここに」
「助けて、お願い」
彼女は息を切らしながら、彼に助けを求めるようにすがり付いた。
一体、何があったのだろう?
そのまま、彼女の案内で港に停めていた帝国の軍船の中に入ると。
「いてぇよ、いてぇーよ!!!」
ザンッ
帝国の兵士の悲痛な声とともに信じられない光景があった。
ベッドで横になっている帝国の兵士の腕や足などに紫のオーラをまとっている、無数の濃い紫の結晶、魔獣結晶が生えていたのである。
「なんですかこれは魔獣結晶が生えている」
俺がそう言うと、ミーナさんはどうすればいいのか分からず頭を抱えていた。
「そうなのよ、ボクの再生のマギアでも回復できないからどうすればいいのか」
しかし、モードレッドさんはその兵士の腕の結晶を見て話した。
「これは晶死病だな」
「なんですか晶死病というものは」
「晶死病と言うものは、発症すると全身の倦怠感と寒気と高熱を発する。
そして体中に内出血を起こして、そこから魔獣結晶が生えてくる恐ろしい病気だ。
今はまだ内出血は起こしていないが、3日後には全身内出血を起こしてそこから血液が魔獣結晶になって死に至る」
話しを聞くだけでとても恐ろしい病気だ、魔獣結晶と言っていたし、なんか魔獣と関係があるのだろうか。
「助けてモードレッド、彼らは帝国の兵士で僕たちの大切な仲間なの」
「モードレッドさん、この病気は感染症ですか」
アスラさんがそう言うと、彼は考えごとをしている顔でうなずいた後、話し始めた。
「感染症だ。
空気感染はしないが、感染者の魔獣結晶や血液に触れると感染する」
「じゃあ、ボクはなんで感染しないんだ。
ボクはずっと彼らの近くにいたのに」
確かにミーナさんの言う通り、彼女は感染者の近くにもいたのになんでこの病気にならなかったのだろう。
「恐らくだが、キミの再生のマギアがその病気に対する抗体を持っているのだろう」
「そしたら、そしたら、その抗体で薬か何かを作れば」
彼女がそう提案しても彼は無言で頭を横に振った。
「いいや、マギアの魔力はあまりにも複雑で再現ができないんだ。
ところでなぜこんなことになったんだ」
「それがそのキミたちと別れた後、帝国の方針で各地で動きが活発化している魔獣を討伐することになっていたのだけど。
船でたまたま海にいた色欲の魔獣の群れと戦ってそこにいたのは討伐できたのだけど、その数日後ボク以外のみんな感染してしまったの」
色欲の魔獣に当たる、一度遭遇したサソリ型の魔獣テュルペと聞いた話だけではあるけどヤギ型の魔獣ギプソフィラ。
その二体は暴食の魔獣と異なり、自身に対する防衛ではなく、相手に病気をばら撒く魔獣なのか。
「治療方法とかはないんですか」
マーニさんがそう聞くと、彼は知っているのかアゴに手を当てながら話し始めた。
「治療方法は、禁忌の島にいる色欲の魔獣から取れる高純度の魔獣結晶があれば特効薬を作れる」
「そしたら、今すぐにでもその色欲の魔獣を倒さないと」
その話しを聞き、早速外に出ようとするミーナさんを彼は一言いった。
「それは無理だ」
「なんで止めるんだい。
命がかかっているんだよ」
「いいや、君の命もかかっているからだ!!!
旧魔王都市エクスカリバーには怪物がいる」
旧魔王都市エクスカリバー、先生やマスターからも聞いたことのない街の名前だ。
それと怪物ってなんだろうリンネがいるのか、でもリンネは暴食だけだよね。
そんなことを考えていると、彼女が話し始めた。
「えぇそうよ、王様には危ない島と言われているけど、でもたかが魔獣ぐらい転生者にかかれば簡単に倒せるわよ」
モードレッドさんは、彼女の肩を掴んで止めて先ほどよりも深刻な顔で話し始めた。
「ミーナ、なぜエクスマキナ王は危険だと言ったか分かるか」
「いいや分からない」
彼は、言葉を震わせながらゆっくりと話した。
「あそこには色欲の魔獣などの十二の魔獣のほかに魔王軍幹部と魔王とエクスマキナ王しか知らない歴史に消された魔獣がいる。
その名は、全ての魔獣の祖である原罪魔獣ニゲルだ」
「原罪魔獣ニゲル?」
「そんなに強い魔獣なんですか」
「そうだ、かつてエクスカリバーと言われた都市があったが、その魔獣が現れたことによってその国にいた六十六万の命が六日のうちにその魔獣一体によって全て喰われた。
その後は、住民を避難させた後、魔王様によって島ごと封じたが、いつあの魔獣が動き出すか分からない。
そのため、今でも自分はその魔獣に動きがないか監視している。
だが、動きがあっても周囲の地域に避難を呼びかけるしかできないが」
しかし、ミーナさんは再び足を止めようとはしなかった。
「それでもボクは行くから、何もできないままなんて嫌。
もう、後悔なんてしたくないから」
「ミーナ!!!」
バンッ
彼女はそのまま外に出て行った。
「まったく、話の聞かない人だ」
モードレッドさんも頭を抱え込んでそう言った。
そうだよね、愛している人だもんね。
すると横であまり喋っていなかったアスラさんが彼に話しかけて行った。
「でもモードレッドさん、彼らを治さないとそのうちこの都市にも晶死病が蔓延するんじゃないですか」
苦い顔をしながら、彼はうなずいた。
「確かにアスラさんの言う通り、晶死病の原因となるものも突然変異によって空気感染する可能性も高い。
だが、ここ最近動きが見えないが原罪魔獣を刺激させて、動きが活発化させるわけにもいけないわけだけどな」
「そしたら、その島で色欲の魔獣だけを倒す方法しかないわよね」
そうだよね、マーニさんの言う通り結局のところ魔獣ニゲルに気づかなければいいのだから。
何もしなかったら、アスラさんの言う通り、この地域の住人の人たちも苦しむことになってしまうから。
「やろうよ二人とも、ミーナさんと協力して原罪魔獣を目覚めさせないで、色欲の魔獣だけを倒すように」
「そうですねマコトとマーニの言う通り、それが今の一番の最善の方法ですね」
「オッケー、先輩の力見せてあげるわよ」
「ありがとう三人とも」
「モードレッドさん、任せてください。
俺たちは魔王軍三勇者だから」
「本当は止めたいがこれしか方法がないのがな。
体調が悪くなったり帰ってきたら、すぐにこの病院に戻ってきてくれ。
自分は医者だから」
「分かりました、じゃあ行ってきます」
そして、彼と別れて外にいるミーナさんのところに向かった。
そして、外で空に向かって何かを呼ぼうとしているのだろうか、立っていた彼女に自分たちも協力すると事情を話した。
「三人ともありがとうね」
「いや、俺たちは勇者だから。
困っている人たちを助けないといけないから」
「いやぁ情けないわ、一応人から英雄と呼ばれているのに。
ついていくんだったらもう一羽、仲間を紹介するね。
ピィーッ」
バササッ
彼女の口笛に共に現れたのは、人の数倍はある巨大なカモメのような海鳥だった。
地面に着地するとミーナさんに懐いているのか、頭を擦り寄せてきた。
「この地域に住む巨鳥種のモンスター、アルビオンカモメのアルビよ」
「かわいいー!!!」
するとマーニさんがそのカモメに体から突っ込んだ。
モフッ
「モフモフしてる」
そう言うと彼女は奥へ奥へと進み、完全に羽毛に隠れて見えなくなった。
「エーン」
そのカモメもご機嫌そうに翼を広げて、空に向かって喜ぶように鳴いた。
「じゃあ、俺も触ってみようかな」
そして、俺が恐る恐る触ろうとすると羽を大きく広げて威嚇してきた。
「エーンッ」
「うわっ」
「マコトは下がっていて」
すかさずアスラさんが間に入ってきて、鋭いクチバシで突こうとしてきたカモメを足止めしてくれた。
「ありがとうアスラさん」
「ごめんなさいねこの子、オスだから男の人は嫌いなの」
だけど、そのカモメはアスラさんを見ると、気分が良くなったのか、嬉しさを表すような鳴き声をあげた。
「フフッ、アスラちゃんは可愛い女の子だから。
気に入ったようね」
すると彼は呆れたようにムスッとした顔になった。
「はぁ、一応僕男ですけど、こらやめろ。
突くな」
「エーンッ」
「えっ、そうなの、ずっと女の子かと思っていたわ」
まぁ、まぁやっぱりミーナさんやアルビオンカモメのアルビも間違うんだ、そうだよねあんなにかわいいと間違えちゃうよね。