第3話 剣士(ふあん)
文字数 3,523文字
そして、初めての異世界での二日目の朝。
それは痛み?から始まった。
チクッ
痛っ、何だ何だ。
って、首筋に血が出てる、寝ていたときに小枝でも刺さったのかな。
起き上がってみると、木の上に小鳥が歌を作りながら鳴いていた。
「それにしてもこんな寒いのによく寝れたな。
じゃあ、さっそくギルドに行こうかな」
それにしても、朝も寒っ、こんなものが三日も続いたら、確実に冷凍マグロになるよね。
どうにかして、宿かせめて屋根のあるところに泊まるようにしないとな。
そして、俺はマーニさんがいると思う冒険者ギルドに向かった。
その場所に着くと、昨日一人もいなかったギルドは今は外に人が並ぶぐらい溢れかえっていた。
俺は、マーニさんと会うために無理矢理人の群れの中にそこに入った。
ガヤガヤ
「なんで、こんなに人が多いんだ」
室内は更に人が多くかき分けながら移動するしかなかった。
「マスター、この依頼早く受注させてくれ!!」
「早く依頼を申請させて!!!」
「あぁ、まったく昨日の喜ばしいことがあったのに僕の平穏がこうも簡単に崩れ去るとは、まったく泣きたくなるよ」
うわぁ、マスターがメッチャ泣き言いっている、関わると仕事手伝わされそうだしな、早くマーニさんと合流しようかなと思いながら、こっそりと気付かれないうちに外に出ようとすると。
「薬草採取の依頼ですね、確かに受け取りましたありがとうございます」
あっ、マーニさん、マスターの隣でカウンターでクエストの承認していた。
彼女も俺に気づいてくれたのか、元気いっぱいに手を振っていた。
「おはようマコト、マスターが手伝ってくれたら、報酬を昨日の魔獣の分も含めて沢山だすと言ったから、マコトもしようよ」
「いやぁ俺、ちょっと接客業は苦手なんだよね。
それにしても、昨日の魔獣の分まで報酬があるから生活に困らないんじゃないの?」
「いやぁ、それは君との共同生活するから……
こほんっ聞いた話しだけど昨日、マコトは野宿だったでしょう、まだ寒い冬が過ぎたばかりだから、今日こそ私の家に泊まりなさいね。
マスターのほうは私が話しをつけたから、私は一人で住んでいるんだから干渉しないで欲しいな」
「うっごめん、俺もやっぱり手伝うわ」
さすがにこの感じだと居候させてもらう身だから、手伝わないといけないよね。
「よかった、マスターのところに行ってどんな仕事があるのか聞いてくるといいよ。
ゴブリさん、マスターはどこにいますか」
彼女の隣で同じく働いていた昨日のゴブリンさんが答えた。
「マスターは外でタバコ吸ってますよ」
彼の言う通り裏口から出ると、マスターは休憩のためタバコを吸っていた。
「フー、まぁ彼らを働かせているのは、マーニは恩返しと、ゴブリン達は村が他の魔獣に襲われて壊されて逃げてきて、新しい働き口を探していたから。
もう少し、魔王軍を動かせれば、彼らに苦労をかけることもないんだけどね」
ここは魔王軍の都市だったのか、でもよく見る本とかでは魔王軍っていうものは、人間と戦争したりする感じだけど、ここの都市は人は敵視しているみたいだけど、戦っているのは魔獣みたいだし、よくわからないな。
「どういうことなんですか?」
するとマスターは自分の思ったことを察したのか、話し始めた。
「マコト、まだはっきりとは言っていなかったな。
周囲を見てみると良い」
確かにそう言われると、街ゆく人たちは、尖った耳に整った顔立ちのエルフ、低身長で体がガッチリとしたドワーフ、毛のない緑の肌をしたゴブリンしかいない。
「人間だけはいませんね。
何かあったんですか?」
俺がそう言うと、マスターはタバコの煙で雲を作りながら話し始めた。
「かつて僕らは魔王軍に所属していて、魔王を嫌う人間と対立し、長き戦争と休戦を繰り返していた。
しかしここ最近状況が変わってね、魔王軍は解体したのさ」
「えっ」
そう言うと、マスターは吸っていたタバコを手で潰して、ため息をつきながら言った。
「ああっ、まぁ魔王様の考えさ。
この世界には君の他にも四人の転生者がいて、かなりの実力の持ち主なんだよ。
直接魔王軍と衝突すると両方とも大きな損害を負うため魔王様はわざと転生者を招いて自らの命を封印させることで連合国と魔王軍の衝突を防いだのさ」
「なぜ、そんなことをしたんですか?」
「魔王様いわく、今ここで戦争をすると更に魔獣の侵攻が広がると言う理由だよ」
「すごい、人のためにそこまでのことをするなんて」
「ふっ、そんな人なんだよ、魔王でありながら、この世界の生命の守護者でもあるから。
自身よりも他人のことを一番大切にする男であるからね」
マスターは空を見上げて、少し寂しげにそう語った。
「凄い人ですね、自分のことよりも他人のことを思っている魔王様は優しい人なんですね」
この世界の魔王様は人とは敵対はしているけど邪悪な存在ではないんだな、そういうところもあるんだ。
そんな感心していると、マスターは俺の言葉に頷きながら少し口元を緩めながら話した。
「まぁ、優しいという言葉じゃ足りないぐらい甘々だよ。
でも長く生きていたし、多少の休息ぐらいは必要だろうね。
だけど、この街にも昔から人間に怨みを抱いている者もいたりするから、君の正体はくれぐれも気づかれないようにしてくれ」
「わかりました、マジックスライムのマコトと名乗っておきます」
そして、俺とマスターがギルドの中に入ると正面で仕事をしていたマーニさんに話しかけた歳が同じくらいの感じだったが俺より少し背の高い女の子がいた。
集会所はマーニさん以外は、男の人しかおらず少し意外だと思い、目に止まった。
「ここに魔獣を倒した人はいないのか」
「えぇ、いますよ」
彼女は、秋の稲穂のような黄金色の長い金髪で後ろでまとめられて少し赤みがかった瞳で魔術師のような三角帽と袖の長い黒紫の服と黒いマントを羽織っていた。
杖を持ちながらマーニに聞いていた。
「あれは、吸血鬼かな。
だが、こんな太陽の出る日に来るなんて珍しいな。
稀にいる変わった体質なのだろうか」
隣にいたマスターが物珍しそうに見ながら言った、そうだよね俺の世界でも太陽が出ているのに吸血鬼が歩いているなんて聞いたことないからね。
「ここの世界の吸血鬼も血を吸うの?」
「確かに油断すると吸われるだろう。
吸血鬼は人間の血が一番好きだからな。
一応、この香水を少しつけててくれ、人の臭いはごまかせるから」
「そうですよね、そんなこと聞いた後だと、俺が人間なのは隠さないとな。
マーニさんにも迷惑がかかちゃうから」
シュッ、シュッ
香水を振りかけながら、自分はふと疑問に思ったことを聞いた。
「でも、なんでマスターは俺をそんなに庇うんですか」
「ただのおっさんの気まぐれさ」
「ははぁ、ありがとうございます。
じゃあ行ってきます。
はい、俺がマコトです」
そう言うと同時に気づいた彼女はいきなり顔を近づけてきた。
なんか恥ずかしいな。
どうやって、視線を外そうか。
「アナタが魔獣を倒したマコトですか。
本当に魔獣を倒せたんですか、あまり強く見えないが」
「やっぱり、そう思うよね。
この前の魔獣もマーニさんの協力があったから倒せたものだからね」
えぇ、何なのこの人、いきなりすぎて怖いんだけど。
バッ
「ちょっと、君。
私の仲間になに言っているの、ケンカを売っているのかしら、もしそうだとしたらただじゃおかないわよ」
ビクッ
あぁ、びっくりしたいきなり目の前で現れて守るように手を広げて割り込まないでよマーニさん、心臓が止まるかと思ったよ。
でもありがとう、なんか怖そうな人だし。
「別に僕はあの強い魔獣を倒した人物がどうなのかなと思って来ただけだから」
「マコトをバカにするなんていい度胸ね。
マコトが許しても私は許さないわ」
すごい火花散らしているんだけど、怖い。
「まぁ、二人とも一旦落ち着こう」
「フッ、無駄なことだったな。
だけどマコト気をつけろ、今回倒した魔獣は魔法を吸収するけど、剣などの斬撃には弱い奴だから良かったが、次はそんなにうまくいかないから」
ガチャ
彼女は、睨みつけるようにそう言い残し、外に出て行った。
「なんなのよ、アイツは!!!
チョー印象悪いんだけどー!!!」
「まぁ、別に俺のことはどうでもいいから、落ち着いて」
そう怒るマーニさんをなだめているといきなり扉が勢いよく開かれた。
バタンッ
「大変だ、魔獣が現れた!!!」
扉が勢いよく開けて、一人のエルフが慌ててマスターのところに走ってきた。
「なに、魔獣が現れただと、どんな奴だ」
「それが恐らく魔獣フリージアでして」
「さぁて、私たちの出番ね、行こうマコト。
あんなの忘れて、さっさと倒しましょう」
「そうだね……」
うーん、彼女の言っていることは引っかかるよな。
なんか嫌な予感がするんだよね。
それは痛み?から始まった。
チクッ
痛っ、何だ何だ。
って、首筋に血が出てる、寝ていたときに小枝でも刺さったのかな。
起き上がってみると、木の上に小鳥が歌を作りながら鳴いていた。
「それにしてもこんな寒いのによく寝れたな。
じゃあ、さっそくギルドに行こうかな」
それにしても、朝も寒っ、こんなものが三日も続いたら、確実に冷凍マグロになるよね。
どうにかして、宿かせめて屋根のあるところに泊まるようにしないとな。
そして、俺はマーニさんがいると思う冒険者ギルドに向かった。
その場所に着くと、昨日一人もいなかったギルドは今は外に人が並ぶぐらい溢れかえっていた。
俺は、マーニさんと会うために無理矢理人の群れの中にそこに入った。
ガヤガヤ
「なんで、こんなに人が多いんだ」
室内は更に人が多くかき分けながら移動するしかなかった。
「マスター、この依頼早く受注させてくれ!!」
「早く依頼を申請させて!!!」
「あぁ、まったく昨日の喜ばしいことがあったのに僕の平穏がこうも簡単に崩れ去るとは、まったく泣きたくなるよ」
うわぁ、マスターがメッチャ泣き言いっている、関わると仕事手伝わされそうだしな、早くマーニさんと合流しようかなと思いながら、こっそりと気付かれないうちに外に出ようとすると。
「薬草採取の依頼ですね、確かに受け取りましたありがとうございます」
あっ、マーニさん、マスターの隣でカウンターでクエストの承認していた。
彼女も俺に気づいてくれたのか、元気いっぱいに手を振っていた。
「おはようマコト、マスターが手伝ってくれたら、報酬を昨日の魔獣の分も含めて沢山だすと言ったから、マコトもしようよ」
「いやぁ俺、ちょっと接客業は苦手なんだよね。
それにしても、昨日の魔獣の分まで報酬があるから生活に困らないんじゃないの?」
「いやぁ、それは君との共同生活するから……
こほんっ聞いた話しだけど昨日、マコトは野宿だったでしょう、まだ寒い冬が過ぎたばかりだから、今日こそ私の家に泊まりなさいね。
マスターのほうは私が話しをつけたから、私は一人で住んでいるんだから干渉しないで欲しいな」
「うっごめん、俺もやっぱり手伝うわ」
さすがにこの感じだと居候させてもらう身だから、手伝わないといけないよね。
「よかった、マスターのところに行ってどんな仕事があるのか聞いてくるといいよ。
ゴブリさん、マスターはどこにいますか」
彼女の隣で同じく働いていた昨日のゴブリンさんが答えた。
「マスターは外でタバコ吸ってますよ」
彼の言う通り裏口から出ると、マスターは休憩のためタバコを吸っていた。
「フー、まぁ彼らを働かせているのは、マーニは恩返しと、ゴブリン達は村が他の魔獣に襲われて壊されて逃げてきて、新しい働き口を探していたから。
もう少し、魔王軍を動かせれば、彼らに苦労をかけることもないんだけどね」
ここは魔王軍の都市だったのか、でもよく見る本とかでは魔王軍っていうものは、人間と戦争したりする感じだけど、ここの都市は人は敵視しているみたいだけど、戦っているのは魔獣みたいだし、よくわからないな。
「どういうことなんですか?」
するとマスターは自分の思ったことを察したのか、話し始めた。
「マコト、まだはっきりとは言っていなかったな。
周囲を見てみると良い」
確かにそう言われると、街ゆく人たちは、尖った耳に整った顔立ちのエルフ、低身長で体がガッチリとしたドワーフ、毛のない緑の肌をしたゴブリンしかいない。
「人間だけはいませんね。
何かあったんですか?」
俺がそう言うと、マスターはタバコの煙で雲を作りながら話し始めた。
「かつて僕らは魔王軍に所属していて、魔王を嫌う人間と対立し、長き戦争と休戦を繰り返していた。
しかしここ最近状況が変わってね、魔王軍は解体したのさ」
「えっ」
そう言うと、マスターは吸っていたタバコを手で潰して、ため息をつきながら言った。
「ああっ、まぁ魔王様の考えさ。
この世界には君の他にも四人の転生者がいて、かなりの実力の持ち主なんだよ。
直接魔王軍と衝突すると両方とも大きな損害を負うため魔王様はわざと転生者を招いて自らの命を封印させることで連合国と魔王軍の衝突を防いだのさ」
「なぜ、そんなことをしたんですか?」
「魔王様いわく、今ここで戦争をすると更に魔獣の侵攻が広がると言う理由だよ」
「すごい、人のためにそこまでのことをするなんて」
「ふっ、そんな人なんだよ、魔王でありながら、この世界の生命の守護者でもあるから。
自身よりも他人のことを一番大切にする男であるからね」
マスターは空を見上げて、少し寂しげにそう語った。
「凄い人ですね、自分のことよりも他人のことを思っている魔王様は優しい人なんですね」
この世界の魔王様は人とは敵対はしているけど邪悪な存在ではないんだな、そういうところもあるんだ。
そんな感心していると、マスターは俺の言葉に頷きながら少し口元を緩めながら話した。
「まぁ、優しいという言葉じゃ足りないぐらい甘々だよ。
でも長く生きていたし、多少の休息ぐらいは必要だろうね。
だけど、この街にも昔から人間に怨みを抱いている者もいたりするから、君の正体はくれぐれも気づかれないようにしてくれ」
「わかりました、マジックスライムのマコトと名乗っておきます」
そして、俺とマスターがギルドの中に入ると正面で仕事をしていたマーニさんに話しかけた歳が同じくらいの感じだったが俺より少し背の高い女の子がいた。
集会所はマーニさん以外は、男の人しかおらず少し意外だと思い、目に止まった。
「ここに魔獣を倒した人はいないのか」
「えぇ、いますよ」
彼女は、秋の稲穂のような黄金色の長い金髪で後ろでまとめられて少し赤みがかった瞳で魔術師のような三角帽と袖の長い黒紫の服と黒いマントを羽織っていた。
杖を持ちながらマーニに聞いていた。
「あれは、吸血鬼かな。
だが、こんな太陽の出る日に来るなんて珍しいな。
稀にいる変わった体質なのだろうか」
隣にいたマスターが物珍しそうに見ながら言った、そうだよね俺の世界でも太陽が出ているのに吸血鬼が歩いているなんて聞いたことないからね。
「ここの世界の吸血鬼も血を吸うの?」
「確かに油断すると吸われるだろう。
吸血鬼は人間の血が一番好きだからな。
一応、この香水を少しつけててくれ、人の臭いはごまかせるから」
「そうですよね、そんなこと聞いた後だと、俺が人間なのは隠さないとな。
マーニさんにも迷惑がかかちゃうから」
シュッ、シュッ
香水を振りかけながら、自分はふと疑問に思ったことを聞いた。
「でも、なんでマスターは俺をそんなに庇うんですか」
「ただのおっさんの気まぐれさ」
「ははぁ、ありがとうございます。
じゃあ行ってきます。
はい、俺がマコトです」
そう言うと同時に気づいた彼女はいきなり顔を近づけてきた。
なんか恥ずかしいな。
どうやって、視線を外そうか。
「アナタが魔獣を倒したマコトですか。
本当に魔獣を倒せたんですか、あまり強く見えないが」
「やっぱり、そう思うよね。
この前の魔獣もマーニさんの協力があったから倒せたものだからね」
えぇ、何なのこの人、いきなりすぎて怖いんだけど。
バッ
「ちょっと、君。
私の仲間になに言っているの、ケンカを売っているのかしら、もしそうだとしたらただじゃおかないわよ」
ビクッ
あぁ、びっくりしたいきなり目の前で現れて守るように手を広げて割り込まないでよマーニさん、心臓が止まるかと思ったよ。
でもありがとう、なんか怖そうな人だし。
「別に僕はあの強い魔獣を倒した人物がどうなのかなと思って来ただけだから」
「マコトをバカにするなんていい度胸ね。
マコトが許しても私は許さないわ」
すごい火花散らしているんだけど、怖い。
「まぁ、二人とも一旦落ち着こう」
「フッ、無駄なことだったな。
だけどマコト気をつけろ、今回倒した魔獣は魔法を吸収するけど、剣などの斬撃には弱い奴だから良かったが、次はそんなにうまくいかないから」
ガチャ
彼女は、睨みつけるようにそう言い残し、外に出て行った。
「なんなのよ、アイツは!!!
チョー印象悪いんだけどー!!!」
「まぁ、別に俺のことはどうでもいいから、落ち着いて」
そう怒るマーニさんをなだめているといきなり扉が勢いよく開かれた。
バタンッ
「大変だ、魔獣が現れた!!!」
扉が勢いよく開けて、一人のエルフが慌ててマスターのところに走ってきた。
「なに、魔獣が現れただと、どんな奴だ」
「それが恐らく魔獣フリージアでして」
「さぁて、私たちの出番ね、行こうマコト。
あんなの忘れて、さっさと倒しましょう」
「そうだね……」
うーん、彼女の言っていることは引っかかるよな。
なんか嫌な予感がするんだよね。