十二魔獣書 

文字数 1,087文字

魔獣、それはこの世界の生命を否定する存在。

始まりの魔獣はかつて人によって堕とされた英雄の肉体から生まれた。
その魔獣は、次に六百六十六種の魔獣を産んだ。
そこから共食いをさせて、最終的に十二種の魔獣が生き残り、それはのちに人を殺し、都市を滅ぼし、とある島や大陸は魔獣以外の生物を全て白い骸へと変らせた。

これによって魔王は、その十二の魔獣にそれぞれに相当する罪の名を冠するよう定めた。




――暴食は、あらゆるものを喰らう。

ブタの姿をした魔獣シンビジウム。
その意味は飾らない心。
かの魔獣は忠実に欲を満たす。

ハエの姿をした魔獣フリージア。
その意味は無邪気。
かの魔獣は無邪気に欲を振り撒く。

二体の行く末は、暴食魔獣アテ




――色欲は、あらゆるものを病魔に侵す。

サソリの姿をした魔獣テュルペ
その意味は望みのない恋。
かの魔獣は憧れとともにいるが、それは報われない。

ヤギの姿をした魔獣ギプソフィラ
その意味は幸福。
かの魔獣は他を廃することで幸福を満たしている。

二体の行く末は、色欲魔獣ルーツィア




――嫉妬は、あらゆるものを排除する。

ヘビの姿をした魔獣カーネーション
その意味は軽蔑。
かの魔獣は、他の生命を軽蔑するがその輝きを憎んでいる。

トンボの姿をした魔獣ローズ
その意味は献身。
かの魔獣は憧れを幸福にするため、自身や他者すらも犠牲にする。

二体の行く末は、嫉妬魔獣バーデニア



――怠惰は、あらゆるものを衰退させる。

クマの姿をした魔獣リリー
その意味は不安。
かの魔獣は、不安なき浮世を作るためあらゆるものの思考を退廃させる。


ウシの姿をした魔獣サンフラワー
その意味は願望。
かの魔獣は、変化のない世界を望むため、特異点となるものを滅ぼす。

二体の行く末は、怠惰魔獣ギプティマ


――憤怒は、あらゆるものを瓦解する。

オオカミの姿をした魔獣リンドウ
その意味は正義。
かの魔獣は自らの正義を疑わず、他を悪と信ずるため同種といえど目にすると死に至る攻撃を行う。

サルの姿をした魔獣ガーベラ
その意味はやさしさ。
かの魔獣は群れで行動しており、魔獣以外の生物を発見すると、相手が生きていること自体を哀れみ。
群れで囲んで八つ裂きにして、仲間とともにそれを喰らうことで弱者への救済を行う。

二体の行く末は、憤怒魔獣ノルマ


――強欲は、あらゆるものを支配する。

ハリネズミの姿をした魔獣クリセンマム。
その意味は、誠実。
その魔獣は、同じにして別種の魔獣カトレアに付き従う。

キツネの姿をした魔獣カトレア。
その意味は、成熟した魅力。
その魔獣は、同じにして別種の魔獣クリセンマムに大切にされるが、かの魔獣もまた愛を注いでいる。

二体の行く末は、強欲魔獣デズデモーナ

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