第4話 魔獣(フリージア)
文字数 4,139文字
討伐クラス、それは各地の冒険者ギルド組合の話し合いによって定められるモンスターや魔獣、そしてリンネの強さを10の値で示すものである。
そして、魔獣フリージア。
魔獣シンビジウムと同じ討伐クラス8の魔獣。
新たな魔獣は目撃者にあたるエルフの青年が見た特徴により、その魔獣と決定した。
不気味な羽音とともに、植物や肉など、何でも食べる雑食性の巨大な虫であるらしい。
マスターいわく、前回、俺たちが魔獣シンビジウムを倒したことにより、元々カラド森林地帯に住んでいたとされている魔獣フリージアがその縄張りの範囲を拡張させて、この草原地帯に現れたと言われた。
そして、俺たち二人は冒険者ギルドを後にしてカラド草原地帯に向かった。
腰よりも高い草をかき分けながら、魔獣を探した。
流石に草原しかないから、その魔獣の大きさと一度聞くだけで耳から離れない羽音も聞こえすぐに見つけることができた。
姿は、現実世界で言うところの巨大なハエのような姿で常にブーンと嫌悪感を覚えるあの音とハエ特有のグロテスクな顔をしていた。
「えぇ、中々気持ち悪いわね。
でもマコト見といて一気に決めるから!!!」
そう言い彼女は飛び上がり、剣を振るって羽根に思いっきり叩き込もうとした。
羽根を壊して、少しでも有利な地上戦に持ち込もうとしているのが彼女の作戦だった。
ガンッ
「えっ……」
しかし魔獣の薄くガラスのように透きとおる羽根は、思った以上に硬く、マーニさんの全力の振り下ろしを簡単に弾き飛ばした。
ヒュッ
ヒュッ
ヒュッ
バシン、バシン、バシン
それを魔獣も知っていたのか、細長くボソボソと毛の生えた六本の細長い足を使い、ムチのように振るいマーニさんに打ちつけた。
彼女は、気を失ったのかピクリとも動かないまま落ちていった。
これじゃ、危ない。
俺は走り出して、そのまま落ちる彼女を受け止めようとした。
「間に合えー!!!」
ズザザザッ
ガシッ
「間に合った」
ギリギリで彼女を受け止めることができた。
「大丈夫ですか、マーニさん!!!」
「う、う、うーん」
よかった、やっぱり気を失っているだけだ。
だけど、今は魔獣から逃げるしかない。
ブゥゥゥン
ガンッ
俺が走り去ろうとすると空中からの攻撃、ここは俺のマギアを使って、シールドを張って……
ブゥンッ
ガンッ
「くっ、痛っ!!!」
ダメだ速すぎる、動きが見えなくて上手くシールドが張れない、だからといって逃げたとしても追いつかれて殺される。
その魔獣は何もできない俺たちをあざ笑うかのように羽根をブンブンと鳴らし、眺めていた。
すると、足元が急に冷えたような感触がした
「まったく、アナタも本当は僕の忠告を無視できなかったけど彼女のことを考えて、何も言えなかったんでしょう。
でも、それがこんな結果を招いた、この世界はこんなものなんですよ。
そんな優しさにもなれないものなんて捨てたほうが良いんですよ」
俺の隣に歩いてきたのは朝会った、吸血鬼の女の子だった。
「あなたは、朝ギルドに来た吸血鬼の……」
「アスラでいいですよ」
「アスラさん、助けにきてくれたんですか」
すると彼女は首を横に振った。
「いいや、アナタ達の今までの行動がどれほど愚かなのか教えるために来ただけですよ」
「ご、ご、ごめんなさい、本当に俺が止めないといけなかったんですよね」
俺が頭を下げて謝ろうとすると、魔獣の羽音が聞こえた。
ビュン
ヒュッ
ヒュッ
ヒュッ
「危ない!!!」
飛んでいた魔獣が羽音と共に突然自分より前に出ているアスラさんの背後を取り、ムチ状の六本の足を広げ、攻撃しようとした。
「それにしても魔獣フリージア、お前はもっと愚か者だ、最初から知っているのにそれでも生物を襲うその闘争心。
哀傷すらも感じる」
ガキィン
えっ、攻撃をしようとした魔獣の体は凍りつき、巨大な氷の塊になった。
「す、す、すごい……」
「人の意見はしっかりと聞くことを忘れないように、マコト。
それと今日で自分たちの欠点も知るように」
そして、彼女は先端に鉱石のようなものが付いた杖を地面に突きながら何処かに行ってしまった。
「あぁ行っちゃった、後で街に行ってお礼言わないと」
✳︎✳︎✳︎
「大丈夫か、マコト」
「痛っ、まさか魔獣の身体があれほど硬いとは思わなかったです」
俺たちは途中で気が付いたマーニさんと一緒にギルドに戻って治療した。
やはり、俺の前いた世界に比べて、塗り薬などなくて傷口を薬草を貼り付けるような治療方法だったため、いつもより傷口に染みた。
しかし、魔獣があそこまで強いなんて、むしろ考えてみれば前回の魔獣は元々、傷があって手負いの魔獣だったから勝てたのか。
そういえば、彼女はどこにいるんだろう。
「マスター、今日来た吸血鬼の女の子のアスラさん、知りませんか」
「あぁ、彼女ならさっき買い物してたから、商店のところにいるんじゃないかな」
「マコト、私は行かないわよ、確かに今回は私が悪かったけど、あの態度は好きじゃないから」
マーニさんは朝の彼女の態度に怒っており、ほおを膨らませてあさっての方向を見ていた。
「分かりました、じゃあ俺だけでも行ってきます」
そして、彼女を探すために俺が色々なものが販売している雑貨屋さんのところに行くと、たまたまアスラさんがいた。
その後、彼女にひと気の少ない路地裏で話しをするように言われた。
路地裏に着くと、すぐに俺は彼女に頭を下げた。
「それで、なんですか」
「今日はありがとうございます」
すると、アスラさんのため息が聞こえ、そのあと話し始めた。
「アナタもそれを言うためにここまで来たなんて、ずいぶんと真面目ですね。
それで自分たちの欠点に気づけたんですか?」
「マーニさんの意見ばかり流されやすいところですかね」
「それはもう知っているだろう、戦いのスタイルだよ」
「もしかして、俺は槍使いでマーニは剣士だから、魔法系等の攻撃や遠距離攻撃がいないことですか」
「そういうこと、僕は氷魔術師だからね。
それと、朝は弱そうとか言ってごめんなさい。
アナタはマーニに対する態度からわかるけど、自分は良いところが無いと思っているのが欠点だと思っているでしょう。
でも、他の人から見たらそれなりにあるんですよ、今の考える力と言い、自分よりも人のために尽くすこととか何でも。
自分に自信をつけることも大事だから」
「あはは、やっぱりそうですよね、俺なんか何事にも自信がないんですよね。
それよりも思ったんですけど、今日手伝ったお礼をしたいんですけど」
「さっきも言ったけど別にいらないですよ、僕は魔獣さえ倒せれば良いんですから」
「思ったんですけど、アスラさんは今日何処に寝るんですか」
「この後、宿屋でも取ろうかなと」
やっぱりまだここに来たばっかりなんだな、そしたらちょうどいいや。
「じゃあ、今日はマーニさんの家に泊まりましょう」
「えっ?
なんでですか」
「いやぁ、昨日から宿屋満室になっていて、野宿しないといけないから」
すると彼女はちょっと表情が硬くなった。
「でも、別にアナタには関係ないことじゃないですか」
「ほら、今日一緒に戦った仲間を放って置いて、外の寒い夜に寝かせたくないから。
だからお願い、マーニさんにはちゃんと俺から説明するから」
「仲間ですか、まぁマコトがそこまで言うなら」
✳︎✳︎✳︎
アスラさんを連れて行くと、予想はしていたけどマーニさんは怒っていた。
「マコト、君は良いとしても、なんでコイツがいるのよ!!!」
「すいませんマーニさん、さすがにあんなに寒い夜に寝かせると風邪をひきそうなので」
「まぁ予想してたけど、それが君の良いところなのよね」
「マーニ、本当はそんなこと考えていなかったでしょう、頭の悪い人ほど頭の良いフリをする」
あわわ、何言ってるの、アスラさん。
「はぁぁぁ!!!
マジ、ムカつく、こんな奴やっぱり外に追い出すべきよ」
ここは、ちょっと割って入らないと二人とも仲良く出来なさそうだし。
「まぁまぁ、二人とも落ち着いて、それとアスラさん、あまり人の悪口ばっかり言うと嫌われますよ」
「分かったマコト、善処する」
「どの口が言うのかしらね」
「あぁそうだ、二人ともまだ夕食がまだだったですね、少し待ってください」
多分、二人ともお腹空いてイライラしてるのかもしれない、ここはお腹いっぱいになれば、仲良くなれるかも、よし頑張るぞ。
「まずはキャベツや人参、ベーコンを焼いて。
そこから水と玉ねぎを入れて煮込み、アクをとってを入れて時間差でじゃがいもとウィンナーを入れて弱火で煮込んで完成と。
はい、二人ともできましたよ、次はポトフになります」
「野菜のボコボコ煮ですか、いただきまーす」
えぇ、わけがわからないよ、まさかこの世界、ポトフのことそう言うのか。
そしたら、話しを合わせないと誤解を生んでしまう。
「アスラさん、この世界ではポトフを野菜のボコボコ煮って言うんですかの」
「まさか、普通にポトフと言いますよ。
変わっているのは、彼女だけですよ」
「えぇーそう言うでしょう、マスターがそう言っていたんだから」
そんな風にさっきまで仲の悪かった二人もそれなりに話しをしていた。
よかった、やっぱり二人ともお腹が空いてたんだね。
じゃあ次は、イクサイノシシを使った野菜炒めを作ろう。
そして、食事の後片付けが終わり、夜も更けてきてロウソクの灯りしかないため、前いた世界よりも早いけど眠ることになった。
部屋は、ちょうど男女で別れているようで、マーニさんがアスラさんをこっちにくるように言っていた。
「じゃあ、アスラはこっちに来なさい、さすがにマコトのところには寝かせないわよ」
「えっ、いやですよ、女の人と寝るなんて変な濡れ衣着せられそうですので」
「はっ?
何で同性同士で変な濡れ衣着せるのよ」
「いや僕、男なんですけど」
「えっ!!!
アスラさん、男だったですか」
「気づかなかったですか、まぁそんなことよりも早く寝ましょう」
そう言うと、彼はよくあることなのか特に驚きもせずそのまま部屋に入って行った。
「マーニさん、知ってましたか?」
「知らない、知らない、知らない、初めて知ったわ」
まぁ、でもまだまだ謎の多いアスラさんのことが少し知れて良かった、明日から良いチームになるように頑張ろう。
そして、俺も明日も良い日になるようにと願いながら眠りについた。
そして、魔獣フリージア。
魔獣シンビジウムと同じ討伐クラス8の魔獣。
新たな魔獣は目撃者にあたるエルフの青年が見た特徴により、その魔獣と決定した。
不気味な羽音とともに、植物や肉など、何でも食べる雑食性の巨大な虫であるらしい。
マスターいわく、前回、俺たちが魔獣シンビジウムを倒したことにより、元々カラド森林地帯に住んでいたとされている魔獣フリージアがその縄張りの範囲を拡張させて、この草原地帯に現れたと言われた。
そして、俺たち二人は冒険者ギルドを後にしてカラド草原地帯に向かった。
腰よりも高い草をかき分けながら、魔獣を探した。
流石に草原しかないから、その魔獣の大きさと一度聞くだけで耳から離れない羽音も聞こえすぐに見つけることができた。
姿は、現実世界で言うところの巨大なハエのような姿で常にブーンと嫌悪感を覚えるあの音とハエ特有のグロテスクな顔をしていた。
「えぇ、中々気持ち悪いわね。
でもマコト見といて一気に決めるから!!!」
そう言い彼女は飛び上がり、剣を振るって羽根に思いっきり叩き込もうとした。
羽根を壊して、少しでも有利な地上戦に持ち込もうとしているのが彼女の作戦だった。
ガンッ
「えっ……」
しかし魔獣の薄くガラスのように透きとおる羽根は、思った以上に硬く、マーニさんの全力の振り下ろしを簡単に弾き飛ばした。
ヒュッ
ヒュッ
ヒュッ
バシン、バシン、バシン
それを魔獣も知っていたのか、細長くボソボソと毛の生えた六本の細長い足を使い、ムチのように振るいマーニさんに打ちつけた。
彼女は、気を失ったのかピクリとも動かないまま落ちていった。
これじゃ、危ない。
俺は走り出して、そのまま落ちる彼女を受け止めようとした。
「間に合えー!!!」
ズザザザッ
ガシッ
「間に合った」
ギリギリで彼女を受け止めることができた。
「大丈夫ですか、マーニさん!!!」
「う、う、うーん」
よかった、やっぱり気を失っているだけだ。
だけど、今は魔獣から逃げるしかない。
ブゥゥゥン
ガンッ
俺が走り去ろうとすると空中からの攻撃、ここは俺のマギアを使って、シールドを張って……
ブゥンッ
ガンッ
「くっ、痛っ!!!」
ダメだ速すぎる、動きが見えなくて上手くシールドが張れない、だからといって逃げたとしても追いつかれて殺される。
その魔獣は何もできない俺たちをあざ笑うかのように羽根をブンブンと鳴らし、眺めていた。
すると、足元が急に冷えたような感触がした
「まったく、アナタも本当は僕の忠告を無視できなかったけど彼女のことを考えて、何も言えなかったんでしょう。
でも、それがこんな結果を招いた、この世界はこんなものなんですよ。
そんな優しさにもなれないものなんて捨てたほうが良いんですよ」
俺の隣に歩いてきたのは朝会った、吸血鬼の女の子だった。
「あなたは、朝ギルドに来た吸血鬼の……」
「アスラでいいですよ」
「アスラさん、助けにきてくれたんですか」
すると彼女は首を横に振った。
「いいや、アナタ達の今までの行動がどれほど愚かなのか教えるために来ただけですよ」
「ご、ご、ごめんなさい、本当に俺が止めないといけなかったんですよね」
俺が頭を下げて謝ろうとすると、魔獣の羽音が聞こえた。
ビュン
ヒュッ
ヒュッ
ヒュッ
「危ない!!!」
飛んでいた魔獣が羽音と共に突然自分より前に出ているアスラさんの背後を取り、ムチ状の六本の足を広げ、攻撃しようとした。
「それにしても魔獣フリージア、お前はもっと愚か者だ、最初から知っているのにそれでも生物を襲うその闘争心。
哀傷すらも感じる」
ガキィン
えっ、攻撃をしようとした魔獣の体は凍りつき、巨大な氷の塊になった。
「す、す、すごい……」
「人の意見はしっかりと聞くことを忘れないように、マコト。
それと今日で自分たちの欠点も知るように」
そして、彼女は先端に鉱石のようなものが付いた杖を地面に突きながら何処かに行ってしまった。
「あぁ行っちゃった、後で街に行ってお礼言わないと」
✳︎✳︎✳︎
「大丈夫か、マコト」
「痛っ、まさか魔獣の身体があれほど硬いとは思わなかったです」
俺たちは途中で気が付いたマーニさんと一緒にギルドに戻って治療した。
やはり、俺の前いた世界に比べて、塗り薬などなくて傷口を薬草を貼り付けるような治療方法だったため、いつもより傷口に染みた。
しかし、魔獣があそこまで強いなんて、むしろ考えてみれば前回の魔獣は元々、傷があって手負いの魔獣だったから勝てたのか。
そういえば、彼女はどこにいるんだろう。
「マスター、今日来た吸血鬼の女の子のアスラさん、知りませんか」
「あぁ、彼女ならさっき買い物してたから、商店のところにいるんじゃないかな」
「マコト、私は行かないわよ、確かに今回は私が悪かったけど、あの態度は好きじゃないから」
マーニさんは朝の彼女の態度に怒っており、ほおを膨らませてあさっての方向を見ていた。
「分かりました、じゃあ俺だけでも行ってきます」
そして、彼女を探すために俺が色々なものが販売している雑貨屋さんのところに行くと、たまたまアスラさんがいた。
その後、彼女にひと気の少ない路地裏で話しをするように言われた。
路地裏に着くと、すぐに俺は彼女に頭を下げた。
「それで、なんですか」
「今日はありがとうございます」
すると、アスラさんのため息が聞こえ、そのあと話し始めた。
「アナタもそれを言うためにここまで来たなんて、ずいぶんと真面目ですね。
それで自分たちの欠点に気づけたんですか?」
「マーニさんの意見ばかり流されやすいところですかね」
「それはもう知っているだろう、戦いのスタイルだよ」
「もしかして、俺は槍使いでマーニは剣士だから、魔法系等の攻撃や遠距離攻撃がいないことですか」
「そういうこと、僕は氷魔術師だからね。
それと、朝は弱そうとか言ってごめんなさい。
アナタはマーニに対する態度からわかるけど、自分は良いところが無いと思っているのが欠点だと思っているでしょう。
でも、他の人から見たらそれなりにあるんですよ、今の考える力と言い、自分よりも人のために尽くすこととか何でも。
自分に自信をつけることも大事だから」
「あはは、やっぱりそうですよね、俺なんか何事にも自信がないんですよね。
それよりも思ったんですけど、今日手伝ったお礼をしたいんですけど」
「さっきも言ったけど別にいらないですよ、僕は魔獣さえ倒せれば良いんですから」
「思ったんですけど、アスラさんは今日何処に寝るんですか」
「この後、宿屋でも取ろうかなと」
やっぱりまだここに来たばっかりなんだな、そしたらちょうどいいや。
「じゃあ、今日はマーニさんの家に泊まりましょう」
「えっ?
なんでですか」
「いやぁ、昨日から宿屋満室になっていて、野宿しないといけないから」
すると彼女はちょっと表情が硬くなった。
「でも、別にアナタには関係ないことじゃないですか」
「ほら、今日一緒に戦った仲間を放って置いて、外の寒い夜に寝かせたくないから。
だからお願い、マーニさんにはちゃんと俺から説明するから」
「仲間ですか、まぁマコトがそこまで言うなら」
✳︎✳︎✳︎
アスラさんを連れて行くと、予想はしていたけどマーニさんは怒っていた。
「マコト、君は良いとしても、なんでコイツがいるのよ!!!」
「すいませんマーニさん、さすがにあんなに寒い夜に寝かせると風邪をひきそうなので」
「まぁ予想してたけど、それが君の良いところなのよね」
「マーニ、本当はそんなこと考えていなかったでしょう、頭の悪い人ほど頭の良いフリをする」
あわわ、何言ってるの、アスラさん。
「はぁぁぁ!!!
マジ、ムカつく、こんな奴やっぱり外に追い出すべきよ」
ここは、ちょっと割って入らないと二人とも仲良く出来なさそうだし。
「まぁまぁ、二人とも落ち着いて、それとアスラさん、あまり人の悪口ばっかり言うと嫌われますよ」
「分かったマコト、善処する」
「どの口が言うのかしらね」
「あぁそうだ、二人ともまだ夕食がまだだったですね、少し待ってください」
多分、二人ともお腹空いてイライラしてるのかもしれない、ここはお腹いっぱいになれば、仲良くなれるかも、よし頑張るぞ。
「まずはキャベツや人参、ベーコンを焼いて。
そこから水と玉ねぎを入れて煮込み、アクをとってを入れて時間差でじゃがいもとウィンナーを入れて弱火で煮込んで完成と。
はい、二人ともできましたよ、次はポトフになります」
「野菜のボコボコ煮ですか、いただきまーす」
えぇ、わけがわからないよ、まさかこの世界、ポトフのことそう言うのか。
そしたら、話しを合わせないと誤解を生んでしまう。
「アスラさん、この世界ではポトフを野菜のボコボコ煮って言うんですかの」
「まさか、普通にポトフと言いますよ。
変わっているのは、彼女だけですよ」
「えぇーそう言うでしょう、マスターがそう言っていたんだから」
そんな風にさっきまで仲の悪かった二人もそれなりに話しをしていた。
よかった、やっぱり二人ともお腹が空いてたんだね。
じゃあ次は、イクサイノシシを使った野菜炒めを作ろう。
そして、食事の後片付けが終わり、夜も更けてきてロウソクの灯りしかないため、前いた世界よりも早いけど眠ることになった。
部屋は、ちょうど男女で別れているようで、マーニさんがアスラさんをこっちにくるように言っていた。
「じゃあ、アスラはこっちに来なさい、さすがにマコトのところには寝かせないわよ」
「えっ、いやですよ、女の人と寝るなんて変な濡れ衣着せられそうですので」
「はっ?
何で同性同士で変な濡れ衣着せるのよ」
「いや僕、男なんですけど」
「えっ!!!
アスラさん、男だったですか」
「気づかなかったですか、まぁそんなことよりも早く寝ましょう」
そう言うと、彼はよくあることなのか特に驚きもせずそのまま部屋に入って行った。
「マーニさん、知ってましたか?」
「知らない、知らない、知らない、初めて知ったわ」
まぁ、でもまだまだ謎の多いアスラさんのことが少し知れて良かった、明日から良いチームになるように頑張ろう。
そして、俺も明日も良い日になるようにと願いながら眠りについた。