第32話 山岳都市(シウコアトル)
文字数 2,239文字
密林の奥地の岩山に囲まれたところにその都市はあった。
ここは山岳都市シウコアトル、人間と獣人種などが混在する多民族都市。
中立の都市なのと黒の密林と呼ばれているジャングルに囲まれた奥地だった為、人と魔王軍の戦火を免れた都市だった。
そのためなのか、訪れた都市の中では一番、活気に満ち溢れていた。
その都市まで来れば目的である帝国に向かっていくまでなんだけど。
俺が前いた世界で地形的に中央アメリカにあたるシウコアトルから日本にあたるムラマサ帝国に行くまでにはこの星で一番広い海を渡らなければならない。
ここまでは、孤島都市から山岳都市に向かう貿易船に乗せてもらいここまで辿り着くことができたが、そのムラマサ帝国までに向かう海を渡る船は未だに見つけることができず現在こうやって都市で帝国まで向かう船を探している途中だった。
「それでここから西の果ての帝国ムラマサのところまで行く船を捕まえればいいのでしょうアスラ」
「そうだね、それが地図によると一番最短ルートになるね。
まぁ、その船が取れればいいけどね」
三人でその天然の石で積まれた街を歩きながらそんな話しをしながら、目的の場所に着いた。
そこは帝国ムラマサまで鉱石や石炭を運ぶ貿易船の会社だった。
そこで毎回都市に向かうとき、荷物と一緒に自分たちも運んでくれる貿易会社を見つけることだった。
さっそく、ムラマサ帝国に乗せてもらえないかその貿易会社の船長と話しをした。
「すいません、突然にそれでどれぐらいの値段になりますか」
「三人を帝国ムラマサまでですかいな。
最近、ムラマサまで運ぶ荷物も無くてコストが結構かかっていますからな。
せめて金貨3000枚になりますね」
金貨3000枚か、魔獣クラスのモンスターの討伐を何十回もこなさないと集まらないよな。
「どうしよう、アスラさん」
心配そうにアスラさんを見ると、彼は納得したような顔で俺たちに話しかけた。
「やっぱりそれぐらいお金はかかりますか、でも二人とも心配しなくてもいいですよ、一ヶ月ほど経てばラウが迎えに来ますから」
「えっ、ラウさんはここに来るんですか」
「えぇ、帝国に向かうためこの場所ぐらいしか大型の飛行艇を停めるところはないですので」
「そしたらいっときの間、ここに滞在するしかないわね」
マーニさんがそう言い終えると、急にアスラさんは船長に話し合いがあると言い自分たち二人を連れて別の部屋で他の人が聞こえない小さな声で話し始めた。
「二人ともできる限り街の外では三人で行動するようにして欲しい」
「別にいいですけど、どうしたんですかアスラさん?」
「自分の知り合いの情報によると、この都市には、転生者で万武英雄と呼ばれるモーガン・アイハムが既にこの街にいるみたいだから。
彼はミーナとラウと違って、本当に信頼した人にしか信用しないから。
帝国の知らない転生者、魔王軍幹部の娘がいると知られたら何されるか分からないから」
「でもさ、そしたら他の街で隠れていて、その日になったらこの都市に来ればいいんじゃないの?」
マーニさんがそう言うと彼は頭を横に振った。
何かあるんだろうか?
「最近、この都市は魔獣が多く現れているのと暴食のリンネも確認されている、下手に街を出ると襲われる。
それとここら辺は昔たくさんの村があったけど、この密林のモンスターに襲われ、ほとんど消滅したから、ここから他の街をたどり着くには時間がかかる。
この街の住民の安全も考えるのと、目的であるリンネや魔獣を倒すために僕はこの街に残ろうと思っている」
「そこまで考えてたんだね、アスラさん、なんでもお見通しなんだね」
「いや別に僕はただ提案を言ったまでのことですので」
そしてその後も色々と話し合いをして、結論としてこの都市で滞在することにした。
そして、待たせていた船長のところに行って時間がかかってしまったことについて謝り、この街に滞在することを伝え、その場から出ていこうとすると。
船長は、細目でこちらを見ながら話しかけて来た。
「お客さんら、もしや噂で聞いたティルウィングで魔獣を倒した三人組ですかいな」
「えっ、まぁ一体目は手負いで二体目はこの隣のアスラが倒したものだけど」
あっ、マーニさんそれは。
✳︎✳︎✳︎
貿易会社の外に出ると、アスラさんが彼女を呼び止めた。
「それでマーニ、何か言うことがあるんじゃないですか」
「その、ごめんね。
なんか流れで言っちゃって」
彼女はテヘッとした表情で小さな舌を出していた。
「いいじゃないですかアスラさん、さっきの船長さんからこんなに貰ったんですから」
さっきの船長から、この都市に来た歓迎なのか、この都市で特産のサツマイモみたいなイモをたくさん貰った。
今日は焼き芋にしようかな。
「まぁ、あの状態だとアナタじゃ言い逃れできないですから。
もしも、モーガンが来ても僕が何とかしますので。
それとさっきも話したけど、できるだけ三人で行動するようにお願いしますね」
そして、俺たちはこの街に一ヶ月滞在することになった。
そこの町長に事情を話して、魔獣を倒す代わりに空き家だった石造りの家を無料で一ヶ月の間借りることができ、数日後、中の汚れなどを掃除し終わり、夕食をしているとき再びアスラさんが俺たちに話した。
「二人ともこの三日後、何か用事がありますか」
「いいや、ないわね」
「マコトは?」
「いいや、俺も特にないよね」
「そしたら、三日後の夜にこの依頼を一緒に行こう」
「何かあるんですか」
「エゼルスィトというモンスターの討伐をしないといけないですので」
ここは山岳都市シウコアトル、人間と獣人種などが混在する多民族都市。
中立の都市なのと黒の密林と呼ばれているジャングルに囲まれた奥地だった為、人と魔王軍の戦火を免れた都市だった。
そのためなのか、訪れた都市の中では一番、活気に満ち溢れていた。
その都市まで来れば目的である帝国に向かっていくまでなんだけど。
俺が前いた世界で地形的に中央アメリカにあたるシウコアトルから日本にあたるムラマサ帝国に行くまでにはこの星で一番広い海を渡らなければならない。
ここまでは、孤島都市から山岳都市に向かう貿易船に乗せてもらいここまで辿り着くことができたが、そのムラマサ帝国までに向かう海を渡る船は未だに見つけることができず現在こうやって都市で帝国まで向かう船を探している途中だった。
「それでここから西の果ての帝国ムラマサのところまで行く船を捕まえればいいのでしょうアスラ」
「そうだね、それが地図によると一番最短ルートになるね。
まぁ、その船が取れればいいけどね」
三人でその天然の石で積まれた街を歩きながらそんな話しをしながら、目的の場所に着いた。
そこは帝国ムラマサまで鉱石や石炭を運ぶ貿易船の会社だった。
そこで毎回都市に向かうとき、荷物と一緒に自分たちも運んでくれる貿易会社を見つけることだった。
さっそく、ムラマサ帝国に乗せてもらえないかその貿易会社の船長と話しをした。
「すいません、突然にそれでどれぐらいの値段になりますか」
「三人を帝国ムラマサまでですかいな。
最近、ムラマサまで運ぶ荷物も無くてコストが結構かかっていますからな。
せめて金貨3000枚になりますね」
金貨3000枚か、魔獣クラスのモンスターの討伐を何十回もこなさないと集まらないよな。
「どうしよう、アスラさん」
心配そうにアスラさんを見ると、彼は納得したような顔で俺たちに話しかけた。
「やっぱりそれぐらいお金はかかりますか、でも二人とも心配しなくてもいいですよ、一ヶ月ほど経てばラウが迎えに来ますから」
「えっ、ラウさんはここに来るんですか」
「えぇ、帝国に向かうためこの場所ぐらいしか大型の飛行艇を停めるところはないですので」
「そしたらいっときの間、ここに滞在するしかないわね」
マーニさんがそう言い終えると、急にアスラさんは船長に話し合いがあると言い自分たち二人を連れて別の部屋で他の人が聞こえない小さな声で話し始めた。
「二人ともできる限り街の外では三人で行動するようにして欲しい」
「別にいいですけど、どうしたんですかアスラさん?」
「自分の知り合いの情報によると、この都市には、転生者で万武英雄と呼ばれるモーガン・アイハムが既にこの街にいるみたいだから。
彼はミーナとラウと違って、本当に信頼した人にしか信用しないから。
帝国の知らない転生者、魔王軍幹部の娘がいると知られたら何されるか分からないから」
「でもさ、そしたら他の街で隠れていて、その日になったらこの都市に来ればいいんじゃないの?」
マーニさんがそう言うと彼は頭を横に振った。
何かあるんだろうか?
「最近、この都市は魔獣が多く現れているのと暴食のリンネも確認されている、下手に街を出ると襲われる。
それとここら辺は昔たくさんの村があったけど、この密林のモンスターに襲われ、ほとんど消滅したから、ここから他の街をたどり着くには時間がかかる。
この街の住民の安全も考えるのと、目的であるリンネや魔獣を倒すために僕はこの街に残ろうと思っている」
「そこまで考えてたんだね、アスラさん、なんでもお見通しなんだね」
「いや別に僕はただ提案を言ったまでのことですので」
そしてその後も色々と話し合いをして、結論としてこの都市で滞在することにした。
そして、待たせていた船長のところに行って時間がかかってしまったことについて謝り、この街に滞在することを伝え、その場から出ていこうとすると。
船長は、細目でこちらを見ながら話しかけて来た。
「お客さんら、もしや噂で聞いたティルウィングで魔獣を倒した三人組ですかいな」
「えっ、まぁ一体目は手負いで二体目はこの隣のアスラが倒したものだけど」
あっ、マーニさんそれは。
✳︎✳︎✳︎
貿易会社の外に出ると、アスラさんが彼女を呼び止めた。
「それでマーニ、何か言うことがあるんじゃないですか」
「その、ごめんね。
なんか流れで言っちゃって」
彼女はテヘッとした表情で小さな舌を出していた。
「いいじゃないですかアスラさん、さっきの船長さんからこんなに貰ったんですから」
さっきの船長から、この都市に来た歓迎なのか、この都市で特産のサツマイモみたいなイモをたくさん貰った。
今日は焼き芋にしようかな。
「まぁ、あの状態だとアナタじゃ言い逃れできないですから。
もしも、モーガンが来ても僕が何とかしますので。
それとさっきも話したけど、できるだけ三人で行動するようにお願いしますね」
そして、俺たちはこの街に一ヶ月滞在することになった。
そこの町長に事情を話して、魔獣を倒す代わりに空き家だった石造りの家を無料で一ヶ月の間借りることができ、数日後、中の汚れなどを掃除し終わり、夕食をしているとき再びアスラさんが俺たちに話した。
「二人ともこの三日後、何か用事がありますか」
「いいや、ないわね」
「マコトは?」
「いいや、俺も特にないよね」
「そしたら、三日後の夜にこの依頼を一緒に行こう」
「何かあるんですか」
「エゼルスィトというモンスターの討伐をしないといけないですので」