第6話 めざめ(帝国)
文字数 2,173文字
俺は誰なんだ、なぜ俺はここにいるんだ。
それしか疑問が無い、確か以前の俺は……
ダメだ、何も思い出せない。
だけど、ここにいるということを考えると何故だが分からないが目から水のようなものがこぼれて体が震える、これは何なんだろう。
またいつか分かることなのか、そんな疑問を持ちながら周囲に見渡した。
周囲を見渡すとこの場所は西洋の宮殿なのか、天井には周囲の光に照らされ透き通るシャングリラと恐らく天使を表している宗教画のようなものが描かれていた。
そこの下には、男女合わせて俺よりも少し年上ぐらいの二人の青年と一人の女性が立っていた。
誰かを待っているようだ。
そう思ったとき、俺から見て真後ろにあった部屋の大きな様々な装飾で飾られた扉が開かれた。
そこから、長髪の白い銀髪に一部分、艶の入った黒髪が混ざった女性が部屋に入ってきた。
その女性は、山桜に近い白桃色の袖の長い着物みたいなものを身に付け俺の近くまで歩いて来た。
慌てて隠れようとしたが、それはいらない心配のようだった。
彼女は、俺に気づかず素通りした。
そうか誰にも見えていなのか、自分は一体誰なんだろう。
そう考え込むと、彼女が先に待っていた三人に話しかけていた。
「皆さん、よく集まってくれましたね。
刀剣英雄 カムイ・バートランド、
万武英雄 モーガン・アイハムは大陸の魔獣防衛で遅れるとのことで。
魔女英雄 ミーナ・ベルナール、
王兵英雄 ラウ・カリマン。
久しぶりの再会ですね」
「どうしたんですか王様、ボクらを呼んで。
まさか、魔王が復活したんですか」
「いいや、ミーナ、それではないんですけどね。
ここから西の街ティルウィングで数十体の魔獣の群れが確認されたのよ。
ラウと一緒に討伐するために準備をしていたのだけれど、最近になって魔獣の魔力反応が全て消えて恐らく何者かに討伐されたようなのでそれの原因を調査にするためにですね」
「一般の魔王軍の兵士で倒すことは難しいですから、元魔王軍の幹部ではないのでしょうか」
「最初は私もそう思ったのですけれど、おかしいのよ。
元魔王軍の幹部なら、幹部特有の魔力が感知できるはずなんだけど、それが感知されなかったのよね。
だから、一応皆にも言っておくけど、その原因を調査するためにラウを西の果てにある都市ティルウィングに派遣させるから」
「まぁ、そういうことだから。
みんな、なんかお土産とかいる?」
ラウさんと呼ばれる男の人は黒い軍服らしきものを着こなしていて、なんか真面目そうな雰囲気はしていたが話し始めると別にそうでも無くて、誰にでも明るく親しみやすいような印象だった。
「ラウ、キミいつもお調子者だよね」
「いやいやミーナ、これでも小生、けっこうまじめにやっているんだよ。
はい、この前の金竜都市バルムンクの風土病を治した薬をくれたお礼」
ミーナさんと呼ばれている人はこの中で四英雄の中で唯一の女性で魔術師のような格好をしていて、見た感じは少しクールな印象だった。
すると、ラウさんは胸元から石のようなものを取り出した。
「キミね〜……
でも、ありがとう貴重な魔獣の魔石をこれで薬を作ってくれたお医者さんも喜ぶと思うから」
「ということで小生は今から出発しますので、戦勝を祝う凱旋のラッパ、花びらを舞う演出を忘れずにしてくださーい」
「ーー分かりました、この帝国は私らに任せてください。
それとリンネにはお気をつけて」
「あっ、バートランド、本当に帰って来ても演出しなくていいからね。
じゃあ、リンネも見つけたら連絡するから」
そして、三人目のバートランドさんはラウさんがふざけたことを言っても表情一つ変えず、話していた。
腰には左右両方に日本刀と剣を装備していた。
バタンッ
彼も俺に気づかないまま、この部屋から出ていった。
するとどこから現れたのかは分からないが、背中に鳥のような白い翼のある天使がその王様と呼ばれている彼女達のところにトコトコと走っていった。
「ラウは、目で見たことがあるものなら、その物質さえあれば体に触れている間、完璧に再現できる性質、創造のマギア。
そんな転生者を作れる王様は本当にすごいね、すごーい」
「妖精だからどこかに飛んでいったと思ったがそこにいましたの」
すると王様は、恥ずかしいのかあまり話さなかった。
「ラプマルちゃん、近くにいたんだね」
「それはいるに決まっているよミーナお姉ちゃん、オイラだってそれが仕事なんだから」
「ラプマルちゃんも忙しいんだね。
ほら、走り回ったら危ないわよ」
「わ!」
その走り回っているラプマルちゃんと呼ばれている妖精は、ミーナという女性に抱きかかえられた。
「フフフッ、王様の邪魔をしたらいけないよ。
外にでも行く?」
「うん、それよりもお姉ちゃんは目の前の人が見える?」
妖精さんが俺の方を見てきた。
見えているのか俺が。
いや、まさか気のせいだろう。
「どうしたのラプマルちゃん、誰かいるの」
「なーいしょ!
ミーナお姉ちゃん、さっそく外で遊ぼうが」
「うん分かった、じゃあボクはラプマルちゃんと外で遊ぶから。
すみませんが王様、席を外します」
「えぇ分かりました」
その後、妖精さんは俺に目を合わせて手を振った。
やっぱり、見えているのか。
あぁ、知ってくれたのか、見えてくれたのか、存在を認めてくれたのか心と体が浮かんだような気持ち。
この気持ちは何なんだ、そうか、俺は今からそれを探すのか。
それしか疑問が無い、確か以前の俺は……
ダメだ、何も思い出せない。
だけど、ここにいるということを考えると何故だが分からないが目から水のようなものがこぼれて体が震える、これは何なんだろう。
またいつか分かることなのか、そんな疑問を持ちながら周囲に見渡した。
周囲を見渡すとこの場所は西洋の宮殿なのか、天井には周囲の光に照らされ透き通るシャングリラと恐らく天使を表している宗教画のようなものが描かれていた。
そこの下には、男女合わせて俺よりも少し年上ぐらいの二人の青年と一人の女性が立っていた。
誰かを待っているようだ。
そう思ったとき、俺から見て真後ろにあった部屋の大きな様々な装飾で飾られた扉が開かれた。
そこから、長髪の白い銀髪に一部分、艶の入った黒髪が混ざった女性が部屋に入ってきた。
その女性は、山桜に近い白桃色の袖の長い着物みたいなものを身に付け俺の近くまで歩いて来た。
慌てて隠れようとしたが、それはいらない心配のようだった。
彼女は、俺に気づかず素通りした。
そうか誰にも見えていなのか、自分は一体誰なんだろう。
そう考え込むと、彼女が先に待っていた三人に話しかけていた。
「皆さん、よく集まってくれましたね。
刀剣英雄 カムイ・バートランド、
万武英雄 モーガン・アイハムは大陸の魔獣防衛で遅れるとのことで。
魔女英雄 ミーナ・ベルナール、
王兵英雄 ラウ・カリマン。
久しぶりの再会ですね」
「どうしたんですか王様、ボクらを呼んで。
まさか、魔王が復活したんですか」
「いいや、ミーナ、それではないんですけどね。
ここから西の街ティルウィングで数十体の魔獣の群れが確認されたのよ。
ラウと一緒に討伐するために準備をしていたのだけれど、最近になって魔獣の魔力反応が全て消えて恐らく何者かに討伐されたようなのでそれの原因を調査にするためにですね」
「一般の魔王軍の兵士で倒すことは難しいですから、元魔王軍の幹部ではないのでしょうか」
「最初は私もそう思ったのですけれど、おかしいのよ。
元魔王軍の幹部なら、幹部特有の魔力が感知できるはずなんだけど、それが感知されなかったのよね。
だから、一応皆にも言っておくけど、その原因を調査するためにラウを西の果てにある都市ティルウィングに派遣させるから」
「まぁ、そういうことだから。
みんな、なんかお土産とかいる?」
ラウさんと呼ばれる男の人は黒い軍服らしきものを着こなしていて、なんか真面目そうな雰囲気はしていたが話し始めると別にそうでも無くて、誰にでも明るく親しみやすいような印象だった。
「ラウ、キミいつもお調子者だよね」
「いやいやミーナ、これでも小生、けっこうまじめにやっているんだよ。
はい、この前の金竜都市バルムンクの風土病を治した薬をくれたお礼」
ミーナさんと呼ばれている人はこの中で四英雄の中で唯一の女性で魔術師のような格好をしていて、見た感じは少しクールな印象だった。
すると、ラウさんは胸元から石のようなものを取り出した。
「キミね〜……
でも、ありがとう貴重な魔獣の魔石をこれで薬を作ってくれたお医者さんも喜ぶと思うから」
「ということで小生は今から出発しますので、戦勝を祝う凱旋のラッパ、花びらを舞う演出を忘れずにしてくださーい」
「ーー分かりました、この帝国は私らに任せてください。
それとリンネにはお気をつけて」
「あっ、バートランド、本当に帰って来ても演出しなくていいからね。
じゃあ、リンネも見つけたら連絡するから」
そして、三人目のバートランドさんはラウさんがふざけたことを言っても表情一つ変えず、話していた。
腰には左右両方に日本刀と剣を装備していた。
バタンッ
彼も俺に気づかないまま、この部屋から出ていった。
するとどこから現れたのかは分からないが、背中に鳥のような白い翼のある天使がその王様と呼ばれている彼女達のところにトコトコと走っていった。
「ラウは、目で見たことがあるものなら、その物質さえあれば体に触れている間、完璧に再現できる性質、創造のマギア。
そんな転生者を作れる王様は本当にすごいね、すごーい」
「妖精だからどこかに飛んでいったと思ったがそこにいましたの」
すると王様は、恥ずかしいのかあまり話さなかった。
「ラプマルちゃん、近くにいたんだね」
「それはいるに決まっているよミーナお姉ちゃん、オイラだってそれが仕事なんだから」
「ラプマルちゃんも忙しいんだね。
ほら、走り回ったら危ないわよ」
「わ!」
その走り回っているラプマルちゃんと呼ばれている妖精は、ミーナという女性に抱きかかえられた。
「フフフッ、王様の邪魔をしたらいけないよ。
外にでも行く?」
「うん、それよりもお姉ちゃんは目の前の人が見える?」
妖精さんが俺の方を見てきた。
見えているのか俺が。
いや、まさか気のせいだろう。
「どうしたのラプマルちゃん、誰かいるの」
「なーいしょ!
ミーナお姉ちゃん、さっそく外で遊ぼうが」
「うん分かった、じゃあボクはラプマルちゃんと外で遊ぶから。
すみませんが王様、席を外します」
「えぇ分かりました」
その後、妖精さんは俺に目を合わせて手を振った。
やっぱり、見えているのか。
あぁ、知ってくれたのか、見えてくれたのか、存在を認めてくれたのか心と体が浮かんだような気持ち。
この気持ちは何なんだ、そうか、俺は今からそれを探すのか。