第39話 友達(stand up)
文字数 1,985文字
俺は、何日も密林の中にある名も知らない湖に映る月と太陽を立ち尽くしながら見ていた。
俺が殺したんだよ、殺してしまったんだよ、マーニさんを。
そして今日は太陽は雲に隠れていた。
「マコト、そこにいたのか」
すると後ろから、誰かの足音が聞こえた。
振り向いてみると、そこにいたのはモーガンさんだった。
「そうですけど、俺に何のようですか」
「まぁ、ちょっと話をしたくてな。
それにしてもひでぇ顔だな。
ほらよ、このハンカチで顔でもふけよ」
「ありがとうございます」
彼から渡されたハンカチで顔を拭いた。
拭いたハンカチは、涙と汚れで黒くなっていた。
「そうだな、まぁちょっと服を脱げ。
湖で体を洗ってから話しをしようか」
そして、モーガンさんが準備してくれたドラム缶に似た軽い金属でできた容器を使ってそこに水を入れて、火をつけて温めていた。
「すいません、俺なんかのために。
そういえばモーガンさんは、前の世界にいたとき何をしていたんですか」
火に大きな葉っぱを使って空気を送っていた彼は懐かしむような表情で話し始めた。
「あぁ?
まぁ簡単に言えば、自分や仲間、居場所を守るため、人殺しをした少年兵さ」
「そうだったんですね、前いた世界でもそんな辛いことを経験したんですね」
そう言うと、彼は目を閉じながら頭を横に振った。
「辛いのかって、いいやその時はまったくそんなものは感じなかった。
むしろ、誇りにも思っていた、仲間を守るため居場所を守るためその為だったら、俺は何だってしていたからな」
そうなんだ、この人は目的に対していつも覚悟を決めているんだ。
誰も助けてくれないからこそ、自分のことは自分で責任を負わないといけない。
だからあの時も、リンネになったとき、死に方を考えろってそんな過去があっての覚悟を決めての意味だったんだ。
「俺、仲間を殺してしまったんですよね」
「あぁ、街で言われていたのはやっぱりお前だったのか、仲間を助ける為にマーニと同化したリンネを殺したんだろう」
「本当は救えたんですよ。
もう、俺には明日が見えない、時間が経つごとに絶望しているような気がしているんですよ。
もしかしたら、俺、明日にもリンネになって、誰かを殺してしまうかもしれない、だからその前に……」
すると彼はため息をついた、そうだよねこんな愚痴ばかりこぼしていたら、俺のために犠牲になった彼女も浮かばれないよね。
「じゃあ、後ろにいる奴の言葉を聞いてから好きなようにリンネにでも何にでもなればいい。
言っておくが、アイツはケガをしているのにずっとお前のこと探していたからな。
お前はお前が思っているほど大切な存在だと言うことに気づいたほうがいいぜ。
じゃあ、俺はこれで失礼するぜ」
彼と入れ替わるように俺のマギアによってケガをしたアスラさんが足を引きずりながら歩いてきた。
「えっ、なんでアスラさん。
俺あんなことをしたのに」
彼の顔は安心してホッと一息ついていた。
「マコト、ここにいたんだ」
「アスラさん、そんな足でさっきのケガも治っていないし」
ザッ
すると、彼は走り出して俺が逃げないように肩を強く掴み、涙を流しながら言った。
「僕のことなんてどうでもいいんですよ!!!
だからいつまでも下を向かないで、マーニもそんなアナタを見たい為に命を落としたわけじゃないんですよ」
「アスラさん……」
「アナタだけでも生きているということで幸せだと感じている人がいるのを忘れないで」
そうだよ、ここで俺が死んでしまったらアスラさんはどうなってしまうんだ。
今まで、たくさん魔獣やリンネからも守ってくれた、もしここで死んでしまったらそれが全部ムダになってしまう。
俺は転生者でこの魔王軍三勇者の一人なんだ、目的である魔獣を倒すことから逃げてはダメなんだ。
「ごめんなさいアスラさん、やっぱりダメだよね。
生きるよ、俺は託された人たちのために自分のためにも生きるよ」
「それでいいんだよマコト、希望を持てば必ず救われるんだから。
いいや、僕が絶対に救ってあげるから」
そして、しばらくして今の目には涙なんてなかった、もう決めたんだ、俺はあの二つの都市で誓った、リンネにならない方法を見つけて、魔獣を倒すと。
「じゃあ行こう、マコト、みんなも待っているから」
「みんなって?」
「ラウやモルガーナ先生ですよ」
そっか、確かにもうラウさんが来る時期になっていたのか。
そして彼について行こうとすると。
「待ってくれよ、俺の風呂をここで捨てるのか」
そこには腕を組んでお風呂が完成していたモーガンさんがいた。
「あっごめんなさい」
そして久しぶりのお風呂に入って汚れやあの後悔も流した。
後悔している暇なんてない、勇者であった彼女の犠牲を絶対に無駄にしない。
必ず、彼女のためにもこの世界から厄災を取り除く。
するとあの日から見えていなかった雲に隠れていた太陽が再び光を取り戻した。
その眩しさは、勇者マーニさんの笑顔と似ていた。
俺が殺したんだよ、殺してしまったんだよ、マーニさんを。
そして今日は太陽は雲に隠れていた。
「マコト、そこにいたのか」
すると後ろから、誰かの足音が聞こえた。
振り向いてみると、そこにいたのはモーガンさんだった。
「そうですけど、俺に何のようですか」
「まぁ、ちょっと話をしたくてな。
それにしてもひでぇ顔だな。
ほらよ、このハンカチで顔でもふけよ」
「ありがとうございます」
彼から渡されたハンカチで顔を拭いた。
拭いたハンカチは、涙と汚れで黒くなっていた。
「そうだな、まぁちょっと服を脱げ。
湖で体を洗ってから話しをしようか」
そして、モーガンさんが準備してくれたドラム缶に似た軽い金属でできた容器を使ってそこに水を入れて、火をつけて温めていた。
「すいません、俺なんかのために。
そういえばモーガンさんは、前の世界にいたとき何をしていたんですか」
火に大きな葉っぱを使って空気を送っていた彼は懐かしむような表情で話し始めた。
「あぁ?
まぁ簡単に言えば、自分や仲間、居場所を守るため、人殺しをした少年兵さ」
「そうだったんですね、前いた世界でもそんな辛いことを経験したんですね」
そう言うと、彼は目を閉じながら頭を横に振った。
「辛いのかって、いいやその時はまったくそんなものは感じなかった。
むしろ、誇りにも思っていた、仲間を守るため居場所を守るためその為だったら、俺は何だってしていたからな」
そうなんだ、この人は目的に対していつも覚悟を決めているんだ。
誰も助けてくれないからこそ、自分のことは自分で責任を負わないといけない。
だからあの時も、リンネになったとき、死に方を考えろってそんな過去があっての覚悟を決めての意味だったんだ。
「俺、仲間を殺してしまったんですよね」
「あぁ、街で言われていたのはやっぱりお前だったのか、仲間を助ける為にマーニと同化したリンネを殺したんだろう」
「本当は救えたんですよ。
もう、俺には明日が見えない、時間が経つごとに絶望しているような気がしているんですよ。
もしかしたら、俺、明日にもリンネになって、誰かを殺してしまうかもしれない、だからその前に……」
すると彼はため息をついた、そうだよねこんな愚痴ばかりこぼしていたら、俺のために犠牲になった彼女も浮かばれないよね。
「じゃあ、後ろにいる奴の言葉を聞いてから好きなようにリンネにでも何にでもなればいい。
言っておくが、アイツはケガをしているのにずっとお前のこと探していたからな。
お前はお前が思っているほど大切な存在だと言うことに気づいたほうがいいぜ。
じゃあ、俺はこれで失礼するぜ」
彼と入れ替わるように俺のマギアによってケガをしたアスラさんが足を引きずりながら歩いてきた。
「えっ、なんでアスラさん。
俺あんなことをしたのに」
彼の顔は安心してホッと一息ついていた。
「マコト、ここにいたんだ」
「アスラさん、そんな足でさっきのケガも治っていないし」
ザッ
すると、彼は走り出して俺が逃げないように肩を強く掴み、涙を流しながら言った。
「僕のことなんてどうでもいいんですよ!!!
だからいつまでも下を向かないで、マーニもそんなアナタを見たい為に命を落としたわけじゃないんですよ」
「アスラさん……」
「アナタだけでも生きているということで幸せだと感じている人がいるのを忘れないで」
そうだよ、ここで俺が死んでしまったらアスラさんはどうなってしまうんだ。
今まで、たくさん魔獣やリンネからも守ってくれた、もしここで死んでしまったらそれが全部ムダになってしまう。
俺は転生者でこの魔王軍三勇者の一人なんだ、目的である魔獣を倒すことから逃げてはダメなんだ。
「ごめんなさいアスラさん、やっぱりダメだよね。
生きるよ、俺は託された人たちのために自分のためにも生きるよ」
「それでいいんだよマコト、希望を持てば必ず救われるんだから。
いいや、僕が絶対に救ってあげるから」
そして、しばらくして今の目には涙なんてなかった、もう決めたんだ、俺はあの二つの都市で誓った、リンネにならない方法を見つけて、魔獣を倒すと。
「じゃあ行こう、マコト、みんなも待っているから」
「みんなって?」
「ラウやモルガーナ先生ですよ」
そっか、確かにもうラウさんが来る時期になっていたのか。
そして彼について行こうとすると。
「待ってくれよ、俺の風呂をここで捨てるのか」
そこには腕を組んでお風呂が完成していたモーガンさんがいた。
「あっごめんなさい」
そして久しぶりのお風呂に入って汚れやあの後悔も流した。
後悔している暇なんてない、勇者であった彼女の犠牲を絶対に無駄にしない。
必ず、彼女のためにもこの世界から厄災を取り除く。
するとあの日から見えていなかった雲に隠れていた太陽が再び光を取り戻した。
その眩しさは、勇者マーニさんの笑顔と似ていた。