第28話 襲来(どうこく)
文字数 1,970文字
色欲のリンネと呼ばれる大樹は成長し、都市クラレントの蒼穹を奪い、暗い深緑の空を作り出した。
リンネの成長が進むにつれて、花粉はモードレッドさんの毒が効いたのか放出することは無くなったが、代わりに先ほどよりも青色に熟れた果実が次々と生えてきた。
ボトッ
ボトッ
そこから熟し落ちた果実からは、続々と都市エクスカリバーで見たことのある巨大なサソリやヤギに似た魔獣が現れた。
その果実から生まれた魔獣は、近くにいた人々ともにこの都市から避難しているクラレントの兵士達を襲おうとした。
ガキィン
「キシャァァァ」
キュゥィィィン
爪や尻尾がチェンソーの形をしたサソリに似た魔獣テュルペが手当たり次第に近くにある人だろうが物だろうが、爪を使い切り刻もうと、こちらに向かってきた。
ヒュッ
ビュンッ
ザシュ
「ギュピィ」
目の前にいた魔獣テュルペは、飛び上がってきたマーニさんになすすべなく頭から叩き斬られた。
「大丈夫、マコト。
それにしてもなんなのよこの数きりがないわ、また来たわよ!!!」
すると続々と青い果実から生まれた魔獣たちが逃げる人々に襲いかかった。
何もできない人々を魔獣テュルペはただなんのためらいもなく、チェンソー状のハサミを薙ぎ払うように振りかざした。
「やめろぉぉぉ!!!」
ザシュ
石造りの地面は赤く染まり、先ほどまで逃げていた人々は誰一人立っている人はいなかった。
「ギャッギャッギャッ」
あざ笑うかのように爪をカチカチと鳴らすその魔獣テュルペが目の前に見えた。
「ふざけるなぁぁ!!!」
ブゥンッ
冷静さを失った俺はマギアを槍にまとわせて、攻撃しようとした。
しかし、突然別のテュルペが現れて、その細長いチェンソー状の爪を振りかざしてで俺の体を真っ二つに切り裂こうとした。
しまった、俺がマギアを武器にまとわせるのを待っていたのか。
俺のマギアのバリアは、武器や他の人にまとわせたりすると自身を防ぐものがなくなるので、転生者であってもほとんど一般の人と変わらないため、この攻撃をくらってしまったら確実に死ぬ。
ダメだと思い、目をつむり諦めると。
鳥肌ができるぐらいの冷気を感じられた。
サァァァ
ガキィン
目を開くと、目の前に魔獣テュルペが入った巨大な氷の塊があった。
「アスラさん……」
そこには他の魔獣と戦っていたアスラさんが立っていた。
周囲を見渡すと彼が戦っていた魔獣は全て氷漬けにされており、海風が吹くと小さな結晶となり、消え去っていた。
そしてアスラさんは二体の魔獣を氷漬けにさせた後、こちらを睨みつけてきた。
怒られると思い、目をつむると……
「命をムダにしないで、マコトは既に二人に救われているから。
それとアナタがいることで救われている人がまたいるということも忘れないで欲しい」
「……ごめんなさい、アスラさん」
そう言うと彼は肩を優しくつかみ、優しく微笑みながらうなずいた。
「分かったらいいんですよ、マコトは無理をしないで僕の援護をしてください」
そうだ今は冷静になって、自分ができることをしないと。
「メェェェェ」
ドドドッ
ガキィン
紫の体毛をまとったヤギのような姿をし、魔獣テュルペと同じぐらいの魔獣ギプソフィラの群れがこちらに向かってきた。
だがそれをものとせず迫り来る魔獣達をアスラさんは凍らせていく。
しかし、彼の背後から地面から生えてきたリンネの根っこが迫ってきた。
まだ彼は気づいてない。
「危ない、アスラさん」
ドンッ
彼を後ろから突き飛ばして根っこからは離せたが、自分が捕まってしまった。
マギアを使おうと思ったが、ここで自分にバリアを張れば根っこを切断できるがその代わり、リンネ本体に注意が向いて、アスラさんも巻き込まれる。
ビュッ
その根っこはいくつも絡めてきて植物の根でできた鉄格子、天然の檻を作り、そのままリンネ本体のところに連れて行こうとした。
「マコト!!!」
檻の外から彼の声が聞こえる、走って追いかけて来てる、いやダメだよアスラさん。
「来ないでください、自分よりもアスラさんのほうが何十倍も人の役に立ちますから」
隙間を見てみると、そこにはリンネ本体である大樹が大口を開けていた。
そして、天然の檻もなくなり、ただ無様に大口に何も抵抗もできない落ちていく自分の無力さに後悔するしかなかった。
今、強者のマギアを張っても食べられることには変わりない。
さっき、アスラさんと約束したばっかりだったのに。
「これが俺の最後なのか、ごめん皆んな」
そう呟くと……
ダダダッ
バッ
落ちていく俺の目の前に氷使いの憧れの人がそこにいた。
「アスラさん!!!」
「マコト!!!
アナタは役に立たないし、絶対に助ける、僕はまだ諦めない」
ガシッ
そう言うと彼は俺の腕を強く握った、そうだまだ諦めていけない。
そして、俺は心の中で念じて、強者のマギアを二人分覆い尽くすように展開して、そのまま色欲のリンネの大口の中に落ちて行った。
リンネの成長が進むにつれて、花粉はモードレッドさんの毒が効いたのか放出することは無くなったが、代わりに先ほどよりも青色に熟れた果実が次々と生えてきた。
ボトッ
ボトッ
そこから熟し落ちた果実からは、続々と都市エクスカリバーで見たことのある巨大なサソリやヤギに似た魔獣が現れた。
その果実から生まれた魔獣は、近くにいた人々ともにこの都市から避難しているクラレントの兵士達を襲おうとした。
ガキィン
「キシャァァァ」
キュゥィィィン
爪や尻尾がチェンソーの形をしたサソリに似た魔獣テュルペが手当たり次第に近くにある人だろうが物だろうが、爪を使い切り刻もうと、こちらに向かってきた。
ヒュッ
ビュンッ
ザシュ
「ギュピィ」
目の前にいた魔獣テュルペは、飛び上がってきたマーニさんになすすべなく頭から叩き斬られた。
「大丈夫、マコト。
それにしてもなんなのよこの数きりがないわ、また来たわよ!!!」
すると続々と青い果実から生まれた魔獣たちが逃げる人々に襲いかかった。
何もできない人々を魔獣テュルペはただなんのためらいもなく、チェンソー状のハサミを薙ぎ払うように振りかざした。
「やめろぉぉぉ!!!」
ザシュ
石造りの地面は赤く染まり、先ほどまで逃げていた人々は誰一人立っている人はいなかった。
「ギャッギャッギャッ」
あざ笑うかのように爪をカチカチと鳴らすその魔獣テュルペが目の前に見えた。
「ふざけるなぁぁ!!!」
ブゥンッ
冷静さを失った俺はマギアを槍にまとわせて、攻撃しようとした。
しかし、突然別のテュルペが現れて、その細長いチェンソー状の爪を振りかざしてで俺の体を真っ二つに切り裂こうとした。
しまった、俺がマギアを武器にまとわせるのを待っていたのか。
俺のマギアのバリアは、武器や他の人にまとわせたりすると自身を防ぐものがなくなるので、転生者であってもほとんど一般の人と変わらないため、この攻撃をくらってしまったら確実に死ぬ。
ダメだと思い、目をつむり諦めると。
鳥肌ができるぐらいの冷気を感じられた。
サァァァ
ガキィン
目を開くと、目の前に魔獣テュルペが入った巨大な氷の塊があった。
「アスラさん……」
そこには他の魔獣と戦っていたアスラさんが立っていた。
周囲を見渡すと彼が戦っていた魔獣は全て氷漬けにされており、海風が吹くと小さな結晶となり、消え去っていた。
そしてアスラさんは二体の魔獣を氷漬けにさせた後、こちらを睨みつけてきた。
怒られると思い、目をつむると……
「命をムダにしないで、マコトは既に二人に救われているから。
それとアナタがいることで救われている人がまたいるということも忘れないで欲しい」
「……ごめんなさい、アスラさん」
そう言うと彼は肩を優しくつかみ、優しく微笑みながらうなずいた。
「分かったらいいんですよ、マコトは無理をしないで僕の援護をしてください」
そうだ今は冷静になって、自分ができることをしないと。
「メェェェェ」
ドドドッ
ガキィン
紫の体毛をまとったヤギのような姿をし、魔獣テュルペと同じぐらいの魔獣ギプソフィラの群れがこちらに向かってきた。
だがそれをものとせず迫り来る魔獣達をアスラさんは凍らせていく。
しかし、彼の背後から地面から生えてきたリンネの根っこが迫ってきた。
まだ彼は気づいてない。
「危ない、アスラさん」
ドンッ
彼を後ろから突き飛ばして根っこからは離せたが、自分が捕まってしまった。
マギアを使おうと思ったが、ここで自分にバリアを張れば根っこを切断できるがその代わり、リンネ本体に注意が向いて、アスラさんも巻き込まれる。
ビュッ
その根っこはいくつも絡めてきて植物の根でできた鉄格子、天然の檻を作り、そのままリンネ本体のところに連れて行こうとした。
「マコト!!!」
檻の外から彼の声が聞こえる、走って追いかけて来てる、いやダメだよアスラさん。
「来ないでください、自分よりもアスラさんのほうが何十倍も人の役に立ちますから」
隙間を見てみると、そこにはリンネ本体である大樹が大口を開けていた。
そして、天然の檻もなくなり、ただ無様に大口に何も抵抗もできない落ちていく自分の無力さに後悔するしかなかった。
今、強者のマギアを張っても食べられることには変わりない。
さっき、アスラさんと約束したばっかりだったのに。
「これが俺の最後なのか、ごめん皆んな」
そう呟くと……
ダダダッ
バッ
落ちていく俺の目の前に氷使いの憧れの人がそこにいた。
「アスラさん!!!」
「マコト!!!
アナタは役に立たないし、絶対に助ける、僕はまだ諦めない」
ガシッ
そう言うと彼は俺の腕を強く握った、そうだまだ諦めていけない。
そして、俺は心の中で念じて、強者のマギアを二人分覆い尽くすように展開して、そのまま色欲のリンネの大口の中に落ちて行った。