第23話 逃亡劇
文字数 4,410文字
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深淵を覗き―――
真相を知ってしまったとしても―――
君は柔道が楽しいか?
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ネオンライトが照らし出す街を探索する青桐 。
テラス席で飲酒している大人達の馬鹿笑いを小耳にしながら、通りを真っ直ぐに進んで行く。
文明が以上発達した近未来都市をぶらぶらと歩いて行く彼。
歩けば歩くほど本当に日本にいるのかが分からなくなっていた。
「……」
(福岡の中州みてぇな場所だな……離島なのか本当 で? ……映画 みてぇな場所だな)
「らっしゃい、らっしゃい!! 焼き鳥はいかがだい!? お、そこのマスクの兄ちゃん!! 買っていくかい!?」
「1本いくらですか?」
「50円!! どれも同じ価格だよっ!!」
(50円? ……やっす、離島なのに本土より安いじゃん)
「……じゃあもも肉1本で」
「了解 っ!!」
キッチンカーの店主に呼び止められた青桐は、押しに負けて焼き鳥を1本購入する。
見知らぬ土地を歩き回っていたので、腹が空いていたことを忘れていた。
商品を受け取る傍ら、聞き込みを開始する青桐。
よそ者だと悟られないように、言葉を選びながら慎重に話していく。
「……店長 さん、この辺で不審な人物を見ませんでした? この前、近所で物騒な人を見かけたもので、怖くてたまらないんですよ」
「んん~? どんな奴らだぁ?」
「えぇっと……スキンヘッドで、グラサンをかけてて……見るからに近づきたくない人ですね」
「んだそりゃ? そんな奴がいたのかい。は~物騒 い世の中 になったもんだ。ん~……悪い、心当たりがねぇな。ほい、もも肉」
「感謝 」
商品を受け取った青桐は、キッチンカーを後にしていく。
もも肉を口に頬張りながら、周囲に目を光らせる彼。
人通りの多い場所にいるとも思えないので、あえて通路の脇道に入り込み、人気の無い薄暗い通路を進んで行く。
背後から聞こえる笑い声が段々と小さくなり、やがて消えていく。
自分の足音を聞きながら、スキンヘッドの男を探す青桐。
曲がり角を曲がった先―――
「止マレ」
「あぁ?」
出会いは突然やって来る。
青桐の前に立ち塞がり、行く手を阻む黒い柔道着を着た人物。
その人物の顔は、フルフェイスヘルメットを被っており、反射する青桐の顔を映し出している。
烏川 の言葉を思い出す彼は、出会いたくなかった相手と対面してしまう。
「身分証明書ヲ提出シロ」
「ちっ……身分証明書ですか?」
「身分証明書ヲ提出シロ」
「えぇっと……今日は家に忘れて来ちゃってぇ……」
「身分証明書ヲ提出シロ」
「……今は持ってないですね」
「……ターゲット補足、確保二移ル」
「……頭の硬ぇ劣化機械 だなぁ……!! お"い"っ!!
対話が通じない。
機械的な受け答えしかしない目の前の人物。
青桐が身分証明書の提出を拒むと、すぐさま捕獲に移る。
柔道の組手のように、右手で横襟を、左手で中袖を掴みにかかる敵。
青桐も応戦するように相手と同じ場所を掴むと、体勢を崩しにかかる。
(……!! コイツ、細身の体で重 すぎんだろ……!! 鉄の塊相手にしてる見てぇだ!! 機械警備員 ねぇ……近未来科学 じゃねぇか!!)
狭い路地での対戦の為、動き回るスペースがない。
後手に回るよりはマシだと考え、短期決戦で勝負を決めにいく青桐。
相手の左足の内側を、自分の右足で時計回りに刈り取る大内刈りを繰り出すと、持ち堪えた相手の真下から、天へと飛瀑する水を発生させ、敵を宙に浮かす。
空から折り返してきた水と共に、体を180度反時計回りに回転させ、右足を敵の両足が引っかかるまで伸ばす。
左手を引きつけ、右手は相手の頭を抱え込むようにして、引き落とし投げ落とす技。
体落しの強化技であるNo.65―――
「滝落 し……っ!!」
「……っ!! 判定、一本……機能ヲ停止スル」
心臓の鼓動が収まらない青桐。
背中を勢いよく地面に叩きつけ、動きが完全に止まったのを見届けると、ようやく肺の中の空気を吐き出していく。
「はっ!! はっ!! はぁー……恐怖 った……急に出てくんなよ……コイツが機械警備員 ? なんか動かなくなったけど大丈夫か? ……ん? ……もしもし、隼人 か?」
『龍夜 、今どこにいる? ハゲ頭の連中を見つけたぞ』
「……現実 で? お前、どこにいんだよ」
『あー……んー……? デカいビルの真下……牛丼屋の側の公園だなっ!! 分かるか?』
「……頑張 って探してみるわ」
ー----------------------------
薄気味悪い物体をその場に残して、手分けして探していた草凪隼人からの連絡通りに合流場所を探していく青桐。
途中数枚の写真を送ってもらいながら、ようやく草凪の元へと合流してく。
公園のベンチでソワソワしながら待っていた草凪。
青桐を手招きすると、立ち上がって歩みを共にする。
「隼人、お待たせ」
「本気 で待ったぜ。早速 行くぞ」
「……古賀さんは?」
「電話に出ねぇ。仕方ねぇから俺達で行くぞ」
「おうよ。そんで……この先にいんだよな」
「ああ、龍夜が来る前にもなんか喋 ってたから、一応動画に保存してあるけど……結構近づかねぇと、何て言ってっか理解 らねぇわ。協力よろしく」
「おう」
ビルとビルの間から、裏路地へと進入していく青桐と草凪。
ちょうどビルの影になる溜まり場のような場所に、文化祭で見かけた人物を発見する。
「……この前のハゲじゃねぇか?」
「龍夜……今度は特攻 しようとすんなよ」
「理解 ってるよ」
「……だ。こ……である……か?」
「……聞えねぇな。もっと腹から声出せよハゲめ……動画を取る意味がねぇじゃねぇか」
「ハゲのせいで埒が明かねぇな……隼人、もう少し近づかないか?」
「本気 で?」
「本気本気 」
目的の人物は確認できたが、肝心の話の内容が聞えない2人は、目と鼻の先まで接近し、手に取るスマホで証拠を押さえていく。
「……廻偵 高校の人間は今何処に? ……東のエリアか。目を離すなよ……徳島の研究所がやられた今、失敗 は厳禁だと思え。堕天 高校はどうなった……? 理解 った、くれぐれも油断 するなよ。城南国際糸島アイランドスクール学院高等高校の取引については、俺が引き継ぐ。ああ、財前富男 だな。他校への妨害工作も引き続き行う。」
「……なんかとんでもねぇこと言ってねぇか?」
「隼人、そろそろ時間だ。烏川と古賀さんと合流する時間」
「現実 かよ……んじゃそろそろ……」
時間が許すならこの場にもう少し留まりたかった2人。
烏川の約束通り集合場所へと向かおうとしたその時、街に警報が鳴り響く。
音が鳴る方向へ視線を動かす2人。
ただならぬ事が起きてしまったと直感的に理解した青桐達は、ペース配分を一切考えずに全速力で逃亡していく。
烏川と古賀と合流した2人。
到着するや否や、青ざめている烏川が青桐に詰め寄っていく。
「青桐っ!! お前、機械警備員 と戦ったか!?」
「えぇ? ……ああ、見つかって勝負を挑まれたからぶん投げといた」
「……え、勝ったの? ……いやこの際どうでもいい!! お前あんなに見つかるなって言っただろっ!?」
「なあ、これどうなるんだ?」
「あぁ!? ……総出で追いかけてくる。逃げるぞっ!!」
ー-----------------------------
街から雲隠れするように遠くへと走っていく4人。
ネオン街の光がぼやけてくるが、代わりに無数の物体がハッキリ目に見えるレベルまで迫って来る。
「うわぁぁ!!獅子皇 さん絶対怒 だよっ!! 青桐お前ぇどうしてくれんだよっ!!」
「知るかよっ!! この島、なんか色々独特 過ぎんだよ!! あ、そうだ。問題の動画を撮ってあるぞ!! いつ見せればいい!?」
「あぁ!? ……今見せて今っ!!」
急かす烏川に、青桐から促された草凪は、自分のスマホを手渡す。
走りスマホをしながら、目の前の障害物を殆ど見ることなく避ける器用なマネをする彼。
一通り視聴すると、目を細めて青桐に真偽を問う。
「この動画……加工してねぇよな」
「撮れたてホヤホヤだよ」
「妨害活動って……そんなことする組織がウチにあったのかよ……!!」
「……お前ら的には勝てば良いんだろ? 妨害活動に否定的なんだな」
「当たり前だろっ!! 俺達はあくまで、柔道だけで世の中 に喧嘩を売るんだよっ!! そうじゃねぇと意味がねぇんだよっ!! クソ~……総帥の野郎、約束 が違ぇぞ」
彼らの胸中は分からないが、推測するに、生徒と大人達で認識の食い違いがあるのだろうか。
怒りを露わにする烏川の表情は、とても嘘をついているように見えない。
赤神達と別れた浜辺へと辿り着いた4人。
そこには、既に到着していた他のメンバーが、バスに乗り込み青桐達の帰りを待ち詫びていた。
窓から烏川に指示を出す獅子皇。
切羽詰まった表情で、青桐達4人へ呼びかける。
「烏川っ!! そっちも見つかったかっ!!」
「獅子皇さんっ!! ……ん?そ っ ち も ?」
「深く考えるな烏川っ!! 今は取り合えず赤神 達を逃がすっ!! 全員バスに乗り込めっ!!」
予め呼び寄せていたバスに飛び乗る青桐達4人。
彼らが席に座るよりも前に、バスは急発進していく。
「し、獅子皇さんっ!!」
「話は後だ。烏川、何か見つけたものはないか?」
「え!? ……動画、動画があるんすよっ!!」
「それを渡せ、パソコンに複製 する……!!」
草凪のスマホをケーブルでノートパソコンと繋ぎ、証拠の動画をコピーしていく獅子皇。
作業が終わると草凪へ携帯を返し、青桐達4人へ簡潔に今後の説明を行っていく。
「それぞれの調査結果をまとめるとだ。我々が把握してない組織がこの島に存在することが確認できた。各々その証拠は押さえている。烏川は、コイツらを逃がすための時間稼ぎを手伝え」
「了解 !!」
「青桐っ!! 貴様らも船の中で証拠のデータを複製 しておけっ!! 今後の役に立つかもしれんからな」
「う、了解 」
追っ手を撒いていくバスは、港へと無事到着する。
船はあと数分で出発するようで、バスの扉が開くや否や、青桐を含めたこの島の住人ではないメンバーが、飛び込むように乗船していく。
船の出発までの数分間。
追っても当然近くまで迫って来ていたが、獅子皇 、刃狼 、天蠍 、烏川 の4人が足止めをしている。
彼らの協力もあり、窮地を脱した青桐達は、船内の椅子に倒れ込む。
船が出航した後も戦い続ける烏川達は、柔道の技を繰り出しながら、今後について話しがあるようで、その瞳には強い感情が込められていた。
「刃狼!! 天蠍!! 烏川!! この雑魚 共を倒したら話があるっ!!」
「BAHAHA~!! 俺もだぁ獅子皇っ!!」
「あら奇遇ぅ~みんな一緒みたいね♡」
「了解 !! 先ずは……へっへっへ!! 柔道 ってやんよ!!」
深淵を覗き―――
真相を知ってしまったとしても―――
君は柔道が楽しいか?
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ネオンライトが照らし出す街を探索する
テラス席で飲酒している大人達の馬鹿笑いを小耳にしながら、通りを真っ直ぐに進んで行く。
文明が以上発達した近未来都市をぶらぶらと歩いて行く彼。
歩けば歩くほど本当に日本にいるのかが分からなくなっていた。
「……」
(福岡の中州みてぇな場所だな……離島なのか
「らっしゃい、らっしゃい!! 焼き鳥はいかがだい!? お、そこのマスクの兄ちゃん!! 買っていくかい!?」
「1本いくらですか?」
「50円!! どれも同じ価格だよっ!!」
(50円? ……やっす、離島なのに本土より安いじゃん)
「……じゃあもも肉1本で」
「
キッチンカーの店主に呼び止められた青桐は、押しに負けて焼き鳥を1本購入する。
見知らぬ土地を歩き回っていたので、腹が空いていたことを忘れていた。
商品を受け取る傍ら、聞き込みを開始する青桐。
よそ者だと悟られないように、言葉を選びながら慎重に話していく。
「……
「んん~? どんな奴らだぁ?」
「えぇっと……スキンヘッドで、グラサンをかけてて……見るからに近づきたくない人ですね」
「んだそりゃ? そんな奴がいたのかい。は~
「
商品を受け取った青桐は、キッチンカーを後にしていく。
もも肉を口に頬張りながら、周囲に目を光らせる彼。
人通りの多い場所にいるとも思えないので、あえて通路の脇道に入り込み、人気の無い薄暗い通路を進んで行く。
背後から聞こえる笑い声が段々と小さくなり、やがて消えていく。
自分の足音を聞きながら、スキンヘッドの男を探す青桐。
曲がり角を曲がった先―――
「止マレ」
「あぁ?」
出会いは突然やって来る。
青桐の前に立ち塞がり、行く手を阻む黒い柔道着を着た人物。
その人物の顔は、フルフェイスヘルメットを被っており、反射する青桐の顔を映し出している。
「身分証明書ヲ提出シロ」
「ちっ……身分証明書ですか?」
「身分証明書ヲ提出シロ」
「えぇっと……今日は家に忘れて来ちゃってぇ……」
「身分証明書ヲ提出シロ」
「……今は持ってないですね」
「……ターゲット補足、確保二移ル」
「……頭の硬ぇ
対話が通じない。
機械的な受け答えしかしない目の前の人物。
青桐が身分証明書の提出を拒むと、すぐさま捕獲に移る。
柔道の組手のように、右手で横襟を、左手で中袖を掴みにかかる敵。
青桐も応戦するように相手と同じ場所を掴むと、体勢を崩しにかかる。
(……!! コイツ、細身の体で
狭い路地での対戦の為、動き回るスペースがない。
後手に回るよりはマシだと考え、短期決戦で勝負を決めにいく青桐。
相手の左足の内側を、自分の右足で時計回りに刈り取る大内刈りを繰り出すと、持ち堪えた相手の真下から、天へと飛瀑する水を発生させ、敵を宙に浮かす。
空から折り返してきた水と共に、体を180度反時計回りに回転させ、右足を敵の両足が引っかかるまで伸ばす。
左手を引きつけ、右手は相手の頭を抱え込むようにして、引き落とし投げ落とす技。
体落しの強化技であるNo.65―――
「
「……っ!! 判定、一本……機能ヲ停止スル」
心臓の鼓動が収まらない青桐。
背中を勢いよく地面に叩きつけ、動きが完全に止まったのを見届けると、ようやく肺の中の空気を吐き出していく。
「はっ!! はっ!! はぁー……
『
「……
『あー……んー……? デカいビルの真下……牛丼屋の側の公園だなっ!! 分かるか?』
「……
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薄気味悪い物体をその場に残して、手分けして探していた草凪隼人からの連絡通りに合流場所を探していく青桐。
途中数枚の写真を送ってもらいながら、ようやく草凪の元へと合流してく。
公園のベンチでソワソワしながら待っていた草凪。
青桐を手招きすると、立ち上がって歩みを共にする。
「隼人、お待たせ」
「
「……古賀さんは?」
「電話に出ねぇ。仕方ねぇから俺達で行くぞ」
「おうよ。そんで……この先にいんだよな」
「ああ、龍夜が来る前にもなんか
「おう」
ビルとビルの間から、裏路地へと進入していく青桐と草凪。
ちょうどビルの影になる溜まり場のような場所に、文化祭で見かけた人物を発見する。
「……この前のハゲじゃねぇか?」
「龍夜……今度は
「
「……だ。こ……である……か?」
「……聞えねぇな。もっと腹から声出せよハゲめ……動画を取る意味がねぇじゃねぇか」
「ハゲのせいで埒が明かねぇな……隼人、もう少し近づかないか?」
「
「
目的の人物は確認できたが、肝心の話の内容が聞えない2人は、目と鼻の先まで接近し、手に取るスマホで証拠を押さえていく。
「……
「……なんかとんでもねぇこと言ってねぇか?」
「隼人、そろそろ時間だ。烏川と古賀さんと合流する時間」
「
時間が許すならこの場にもう少し留まりたかった2人。
烏川の約束通り集合場所へと向かおうとしたその時、街に警報が鳴り響く。
音が鳴る方向へ視線を動かす2人。
ただならぬ事が起きてしまったと直感的に理解した青桐達は、ペース配分を一切考えずに全速力で逃亡していく。
烏川と古賀と合流した2人。
到着するや否や、青ざめている烏川が青桐に詰め寄っていく。
「青桐っ!! お前、
「えぇ? ……ああ、見つかって勝負を挑まれたからぶん投げといた」
「……え、勝ったの? ……いやこの際どうでもいい!! お前あんなに見つかるなって言っただろっ!?」
「なあ、これどうなるんだ?」
「あぁ!? ……総出で追いかけてくる。逃げるぞっ!!」
ー-----------------------------
街から雲隠れするように遠くへと走っていく4人。
ネオン街の光がぼやけてくるが、代わりに無数の物体がハッキリ目に見えるレベルまで迫って来る。
「うわぁぁ!!
「知るかよっ!! この島、なんか色々
「あぁ!? ……今見せて今っ!!」
急かす烏川に、青桐から促された草凪は、自分のスマホを手渡す。
走りスマホをしながら、目の前の障害物を殆ど見ることなく避ける器用なマネをする彼。
一通り視聴すると、目を細めて青桐に真偽を問う。
「この動画……加工してねぇよな」
「撮れたてホヤホヤだよ」
「妨害活動って……そんなことする組織がウチにあったのかよ……!!」
「……お前ら的には勝てば良いんだろ? 妨害活動に否定的なんだな」
「当たり前だろっ!! 俺達はあくまで、柔道だけで
彼らの胸中は分からないが、推測するに、生徒と大人達で認識の食い違いがあるのだろうか。
怒りを露わにする烏川の表情は、とても嘘をついているように見えない。
赤神達と別れた浜辺へと辿り着いた4人。
そこには、既に到着していた他のメンバーが、バスに乗り込み青桐達の帰りを待ち詫びていた。
窓から烏川に指示を出す獅子皇。
切羽詰まった表情で、青桐達4人へ呼びかける。
「烏川っ!! そっちも見つかったかっ!!」
「獅子皇さんっ!! ……ん?
「深く考えるな烏川っ!! 今は取り合えず
予め呼び寄せていたバスに飛び乗る青桐達4人。
彼らが席に座るよりも前に、バスは急発進していく。
「し、獅子皇さんっ!!」
「話は後だ。烏川、何か見つけたものはないか?」
「え!? ……動画、動画があるんすよっ!!」
「それを渡せ、パソコンに
草凪のスマホをケーブルでノートパソコンと繋ぎ、証拠の動画をコピーしていく獅子皇。
作業が終わると草凪へ携帯を返し、青桐達4人へ簡潔に今後の説明を行っていく。
「それぞれの調査結果をまとめるとだ。我々が把握してない組織がこの島に存在することが確認できた。各々その証拠は押さえている。烏川は、コイツらを逃がすための時間稼ぎを手伝え」
「
「青桐っ!! 貴様らも船の中で証拠のデータを
「う、
追っ手を撒いていくバスは、港へと無事到着する。
船はあと数分で出発するようで、バスの扉が開くや否や、青桐を含めたこの島の住人ではないメンバーが、飛び込むように乗船していく。
船の出発までの数分間。
追っても当然近くまで迫って来ていたが、
彼らの協力もあり、窮地を脱した青桐達は、船内の椅子に倒れ込む。
船が出航した後も戦い続ける烏川達は、柔道の技を繰り出しながら、今後について話しがあるようで、その瞳には強い感情が込められていた。
「刃狼!! 天蠍!! 烏川!! この
「BAHAHA~!! 俺もだぁ獅子皇っ!!」
「あら奇遇ぅ~みんな一緒みたいね♡」
「