加茂倉少年の恋 其の二十
文字数 1,822文字
「た、例えばですよっ! 例えばっ!」
「その例えが分からん。実践してみてくれ」
「栄慶さん面白がってるでしょっ!」
「私は真面目に聞いてるだけだが?」
そう言いながらも彼は笑みを浮かべたまま、「ほら……」と私に顔を近づけてくる。
息遣いが聞こえそうな至近距離、じっと見つめる栄慶さん視線……その瞳に映る……熱を帯びた私の表情に気づき、恥ずかしさのあまり顔を隠すようにそっぽを向く。
「癒見……」
栄慶さんはそんな私を諭すように、低く熱を帯びた声で囁きながら、私の横髪を片耳にかける。
「――っ」
「も、もぅっ……見ないで下さいよっ」
「見ないとできないだろう?」
「それは……そうですけどっ」
「それとも私とするのが嫌か?」
「そんな事っっ」
分かってるくせにっ、栄慶さんのいじわる! と心の中で叫びながら私は栄慶さんと視線を合わせ、睨みつける。
だけど……さっきより甘い笑みを浮かべた彼の表情を見て私は降参してしまう。
「栄慶さんの……ばか……」
そう小声で呟きながら……私はゆっくり彼に口付けた。
最初は軽いキス。
角度を変えてもう一度、余韻を残してから唇を離す。
「癒見……」
催促するかのような彼の声に……私はもう一度……角度を変えてキスをした。
今度は誘うかのように……チュッと音を立てて……。
そして……彼と視線を絡ませ合いながら……今度は互いに顔を近づけ深く口付けた。
「……んっ」
侵入してくる彼の舌を受け入れ、おずおずと自分のを絡ませると、栄慶さんは私の舌を優しく吸い上げる。
「んっ……あっ……」
その行為に思わず舌を引っ込めてしまうが、彼の確認するような視線に、拒絶ではないと……私も軽く彼の舌を吸い上げて答えると私の腰を支える彼の手に力が入ったのが分かった。
そして、癒見……と切羽詰まったような擦れ声が聞こえたかと思うと、腰に回していた片方の手が私の後頭部に移動しグッと引き寄せられ、攻めるように彼の舌が私の口腔を犯し始めた。
「んっはっ……んんっ」
「んっふっ……んっ……んっ」
くぐもった私の乱れた声と唾液が絡み合う音……そして微かに聞こえる栄慶さんの熱い吐息が聞こえる中、夢見心地のようにしばらく身を任せていた私だったが、次の瞬間、下半身に走った衝撃にハッと目を覚ます。
(手がっ……、え、栄慶さんの手がっ……私の……私のスカートの中にっ!!)
さっきまで腰に回していたはずの彼の手が、太ももの外側を伝ってスカートの中へと侵入し始めている。
「あっ……栄慶さんっ」
唇を離し、制止するように名前を呼ぶと、彼は無言で私の首筋に唇を這わせてくる。
「ひゃんっ」
肩口に向かってキスを落としながら、スカートの中へ侵入する手がさらに上へと移動する。
(こ、こんな所でっ……こんな所で――っっ!!)
「だっ、駄目ですよ栄慶さんっ! 栄慶さんっ!」
「――嫌か?」
「嫌か、じゃないですよっ……こっ、こんな所で何しようとしてるんですかっ!!」
「ここはこういう事をしていい場所だと聞いた」
「そんなこと言ってませんよっ! い、いや言ったかも……いや、言ってないですよっ、キス以上の事はしちゃ駄目ですよっ!!」
首元に音を立ててキスをしてから不服そうに顔を上げる彼を見て、あ、もしかして言ったかも……と一瞬流されかけたが、いやいやそんなわけないでしょ! っと一人でツッコミ彼を引き剥がす。
「……それ以上の事をしていいと聞いた」
「だから言ってませんって!」
尚も食い下がってくる栄慶さんに向かって今度はキッパリと否定する。
――が、栄慶さんは真顔のまま
「寺で聞いた」
と返してきた。
その言葉を聞いて、私はハッと気が付いた。
「寺で聞いたって……宗近くんですねっ! そんな事言ったのは――――!」
「一条が言っていたんだが」
(史真さ――――――――――んっ!!)
……結局、口をパクパクさせながら唖然とする私を見ながら栄慶さんは笑いを堪え
「――――くしゅん」
「……ふむ、風邪……ですかねぇ?」
と、庭掃除をしながら呑気に空を見上げる史真さんの事を知る由もなく。
「このっ、エロ坊主どもが――っっ!!」
とゴンドラの中で愛を……じゃない、坊主を叫んで観覧車デートは終了した。
「その例えが分からん。実践してみてくれ」
「栄慶さん面白がってるでしょっ!」
「私は真面目に聞いてるだけだが?」
そう言いながらも彼は笑みを浮かべたまま、「ほら……」と私に顔を近づけてくる。
息遣いが聞こえそうな至近距離、じっと見つめる栄慶さん視線……その瞳に映る……熱を帯びた私の表情に気づき、恥ずかしさのあまり顔を隠すようにそっぽを向く。
「癒見……」
栄慶さんはそんな私を諭すように、低く熱を帯びた声で囁きながら、私の横髪を片耳にかける。
「――っ」
「も、もぅっ……見ないで下さいよっ」
「見ないとできないだろう?」
「それは……そうですけどっ」
「それとも私とするのが嫌か?」
「そんな事っっ」
分かってるくせにっ、栄慶さんのいじわる! と心の中で叫びながら私は栄慶さんと視線を合わせ、睨みつける。
だけど……さっきより甘い笑みを浮かべた彼の表情を見て私は降参してしまう。
「栄慶さんの……ばか……」
そう小声で呟きながら……私はゆっくり彼に口付けた。
最初は軽いキス。
角度を変えてもう一度、余韻を残してから唇を離す。
「癒見……」
催促するかのような彼の声に……私はもう一度……角度を変えてキスをした。
今度は誘うかのように……チュッと音を立てて……。
そして……彼と視線を絡ませ合いながら……今度は互いに顔を近づけ深く口付けた。
「……んっ」
侵入してくる彼の舌を受け入れ、おずおずと自分のを絡ませると、栄慶さんは私の舌を優しく吸い上げる。
「んっ……あっ……」
その行為に思わず舌を引っ込めてしまうが、彼の確認するような視線に、拒絶ではないと……私も軽く彼の舌を吸い上げて答えると私の腰を支える彼の手に力が入ったのが分かった。
そして、癒見……と切羽詰まったような擦れ声が聞こえたかと思うと、腰に回していた片方の手が私の後頭部に移動しグッと引き寄せられ、攻めるように彼の舌が私の口腔を犯し始めた。
「んっはっ……んんっ」
「んっふっ……んっ……んっ」
くぐもった私の乱れた声と唾液が絡み合う音……そして微かに聞こえる栄慶さんの熱い吐息が聞こえる中、夢見心地のようにしばらく身を任せていた私だったが、次の瞬間、下半身に走った衝撃にハッと目を覚ます。
(手がっ……、え、栄慶さんの手がっ……私の……私のスカートの中にっ!!)
さっきまで腰に回していたはずの彼の手が、太ももの外側を伝ってスカートの中へと侵入し始めている。
「あっ……栄慶さんっ」
唇を離し、制止するように名前を呼ぶと、彼は無言で私の首筋に唇を這わせてくる。
「ひゃんっ」
肩口に向かってキスを落としながら、スカートの中へ侵入する手がさらに上へと移動する。
(こ、こんな所でっ……こんな所で――っっ!!)
「だっ、駄目ですよ栄慶さんっ! 栄慶さんっ!」
「――嫌か?」
「嫌か、じゃないですよっ……こっ、こんな所で何しようとしてるんですかっ!!」
「ここはこういう事をしていい場所だと聞いた」
「そんなこと言ってませんよっ! い、いや言ったかも……いや、言ってないですよっ、キス以上の事はしちゃ駄目ですよっ!!」
首元に音を立ててキスをしてから不服そうに顔を上げる彼を見て、あ、もしかして言ったかも……と一瞬流されかけたが、いやいやそんなわけないでしょ! っと一人でツッコミ彼を引き剥がす。
「……それ以上の事をしていいと聞いた」
「だから言ってませんって!」
尚も食い下がってくる栄慶さんに向かって今度はキッパリと否定する。
――が、栄慶さんは真顔のまま
「寺で聞いた」
と返してきた。
その言葉を聞いて、私はハッと気が付いた。
「寺で聞いたって……宗近くんですねっ! そんな事言ったのは――――!」
「一条が言っていたんだが」
(史真さ――――――――――んっ!!)
……結局、口をパクパクさせながら唖然とする私を見ながら栄慶さんは笑いを堪え
「――――くしゅん」
「……ふむ、風邪……ですかねぇ?」
と、庭掃除をしながら呑気に空を見上げる史真さんの事を知る由もなく。
「このっ、エロ坊主どもが――っっ!!」
とゴンドラの中で愛を……じゃない、坊主を叫んで観覧車デートは終了した。