プロローグ

文字数 482文字

 閉ざされた障子越しから漏れゆく、男女の声。

「すぐに

あげましょう」

 男の低く官能的な声は、女の身体を震えさせ、高みへと導いていく。

「もう駄目ぇぇ! 私イッちゃう、イッちゃう――――っっ!!

 ――――なんて。

 三流エロ小説みたいな事が繰り広げられてるように見えますが。

栄慶(えいけい)さんっ、何やってるんですか!」

 スパンと勢いよく障子を開けた、私の目に飛び込んできたのは、先ほど高みへと導かれたであろう若い女性……と言っても、少し服は乱れているが裸ではない。

 そして気を失ってるようでピクリとも動かない。

 そんな彼女の姿を凝視する私に、男はニヤリと口角を上げながら答えた。

「見れば分かるだろう? ちょうど今、この者に憑いた霊を逝かせてやったところだ」

でな」

「表現間違ってますよ!!


 ――ここはとある町の住宅街に佇む小さなお寺、斎堂寺。

 彼の名は永見栄慶(ながみえいけい)27歳、斎堂寺十七代目住職です。

 そして今しがた行われていたのは“御祓い”だったのです。
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登場人物紹介

室世癒見【むろせゆみ】24歳 

主人公

憑かれやすい女性編集者

永見栄慶【ながみえいけい】27歳

御祓いを得意とするインテリ坊主

壮真貴一朗【そうまきいちろう】43歳

ナルシストタイプな敏腕編集長

匡木圭吾【まさきけいご】

第二章登場人物

洋食亭サン・フイユ現オーナー

間柴一【ましばはじめ】 38歳

第三章登場人物

ガイスト編集部カメラマン

一条史真【いちじょうししん】27歳

第四章登場人物

宗國寺副住職

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