第6話
文字数 212文字
次第にこの感覚を蘇らすことができるようになってきた。
間違いなく僕はバッタではない。
山羊でもなければ、バクテリアでもない。
退屈な樫の木でもない。
樫の木を退屈だと思えているからには、忙しいあの生き物に生み落とされたんだろうと予想はつく。
それが証拠か、気が付いてから樫の木とは比べ物にならない速さであれこれ思念したじゃないか。
もう一度あれ(『苦』)をやるんだな、
と僕は遥か遠くをまだない眼を細めるようにして臨んだ。
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